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騒がしい観客席側が遠ざかっていくにつれて、人も少なくなっていく。ウォヌさんはどこまで行ってしまっているんだろう、と思いながらグラウンドの外側にある並木道を歩いていく。
あ、いた。
向こう側に1人分の背の高い人影が見えた。
既に白のTシャツ姿の彼は紺色のジャージの上着を肩にかけて、同じ色のジャージのズボンのポケットに両手を入れたまま太陽を眩しそうに見上げていた。
私の足音が聞こえたのか、目を細めながらこちらに顔を向ける。ウォヌさんが表情を緩めて口を開いた。
「本当に来るとは思ってなかった」
そんな彼を見て私も笑って、足を止める。
「本当に来ちゃいました…お水いりますか？」
「うん。欲しい」
ありがと、と言って私の左手にあったお水を手に取った。
Tシャツから出ているウォヌさんの腕は思ったよりも筋肉質で、普段着痩せしている体格もガッシリとしているのが近くだとわかる。いつもより自分の体が小さく感じた。
パキ、と音を立てて開けられたペットボトル。少しぬるくなってるかもしれない。
『それでは、体育祭スタートです！』
唐突に聞こえたスピーカーからの声と、大きな歓声。
水を飲み込んだウォヌさんがグラウンドの方を見て「始まっちゃったな」と笑う。
「戻りますか？」
私が聞くと、こくりと頷いてペットボトルの蓋を閉める彼。どちらともなくゆっくりと歩き始めた。
「今年の学部対抗リレーの1位の景品、何だと思う？」
歩き始めると、ウォヌさんがそう聞いてきた。何だろう…と首を傾げて「…商品券ですか？」と答えてみる。
彼が嬉しそうに私の方を見て答えを教えてくれる。
「一眼レフ」
本当に一眼レフ！？
「ええ！良かったですね！」
「はは、勝つしかないよな」
いつもよりハイテンションなウォヌさんが可愛らしくて、何度も頷いてしまう。
「応援してます！」
ウォヌさんがさっきよりも口角を上げて「…ありがとう」と言った後に私の頭にぽん、と手を乗せた。何度か優しく頭を撫でられた後に離れていく手のひら。
…心臓が、止まってしまうかと思った。困惑して目線が泳いでしまう。
「ミンギュも第1走者で出るからついでに応援してやって」
「み、ミンギュくんも出るんですね…」
心ここにあらず。
とは、今の私のことを言うのだろう。
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奈々ごん(プロフ) - 初めまして！久しぶりにきゅんきゅんする小説に出会いました。ありがとうございます！口角が上がってしまうくらい好きな小説です！ (6月13日 13時) (
レス) @page50 id: dda75e19fb (このIDを非表示/違反報告)
夏目(プロフ) - KYANAさん» 初めまして！楽しんでいただけて嬉しいです！応援ありがとうございます！励みにして頑張りますね！ (2021年2月9日 18時) (レス) id: e14acee8c3 (このIDを非表示/違反報告)
KYANA(プロフ) - はじめまして！最近見つけて読ませていただいているのですが、本当に最高です…！更新応援しています！！ (2021年2月9日 0時) (レス) id: 6aecb490a8 (このIDを非表示/違反報告)
夏目(プロフ) - ハナさん» 感想をいただけると本当にモチベーションが上がるのでそう言っていただけて光栄です(；_；)！！ありがとうございます…！私もハナさんのこと大好きです！！！ (2021年1月29日 11時) (レス) id: e14acee8c3 (このIDを非表示/違反報告)
ハナ(プロフ) - 夏目さん» 素敵すぎてついつい感想を伝えたくなってしまって…！私こそ夏目さんのお話に癒しをもらってます！大好きです！！！(ただの告白) (2021年1月28日 23時) (レス) id: aea125837e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：夏目
| 作成日時：2021年1月15日 17時
