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何度も復習をしていると、あっという間に15分前になってしまった。慌てて荷物をまとめて研究室の棟へと向かう。
チェ教授のゼミの今回の志望者数は丁度定員程だったらしい。ユアとソクミンくんはチェ教授のゼミの存在すら知らず、不思議そうな顔をされたけど。
平和な雰囲気と優秀な生徒が多いこのゼミは、良い噂ばかりなので第二第三志望の人が多いみたいだ。
緊張しながらエレベーターに乗り、この前一瞬途方に暮れた研究室前の廊下までやってきた。どうやらまだ前の子が面接中のよう。
廊下に置かれている椅子に座り、呼ばれるのを待つ。数分後、前の子が研究室から出てきた。
「お、キムさん早いね」
続いて先生が自ら扉を開けて呼びに来てくれた。挨拶をして一礼し、研究室に入る。
「本日はよろしくお願い致します」
「僕のゼミを第一志望にしてくれてありがとう。中々第一にしてくれる子はいないから嬉しいよ」
チェ教授が椅子に座りながらそう言ってくれた。プリントに何かを書き込んでる。
形式通り、志望理由や主に学びたいこと、卒論で書きたいテーマなどを述べていく。
「うん、ありがとう。大体わかりました」
先生が聞いた内容を書きながら、最後の質問ね、と口を開いた。
「本を読むことは、好きですか?」
「はい、好きです」
これだけはすぐに答えられる。すると、チェ教授が笑みを浮かべた。
「これからもそんな風に学ぶ姿勢を忘れないでいてください。うちのゼミは読まないといけない本の量がどこのゼミよりも多いんだよね」
相槌を打ちながら、どうしてそんなに楽しそうなんだろう、と不思議に思っていると、先生が続ける。
「だからいつも面接の最後にこうやって聞いくんだけどさ、今日のゼミ終わり、チョンくんが急に僕の方にやってきて『2年のキムAさんは読書家です』とだけ言ってきたんだよ!?………あ、これ本人には内緒って言ってたな」
慌てて口を閉じる先生に、笑いを堪えられなかった。
けれどそれ以上にドギマギしてしまう私の心。
「確かに、本を読むのは本当に好きです」
ただ、そう答えた私にチェ教授が微笑ましい表情で頷いてくれた。
「本日はありがとうございました」
「こちらこそ、ありがとうね」
一礼して研究室を出る。そう言えばウォヌさん、本当に迎えに来てくれてるのかな、
「お疲れ」
なんて考える間もなく聞こえてきた彼の声。驚いてウォヌさんの方を見ると、彼は小さく笑っていた。
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奈々ごん(プロフ) - 初めまして!久しぶりにきゅんきゅんする小説に出会いました。ありがとうございます!口角が上がってしまうくらい好きな小説です! (6月13日 13時) (レス) @page50 id: dda75e19fb (このIDを非表示/違反報告)
夏目(プロフ) - KYANAさん» 初めまして!楽しんでいただけて嬉しいです!応援ありがとうございます!励みにして頑張りますね! (2021年2月9日 18時) (レス) id: e14acee8c3 (このIDを非表示/違反報告)
KYANA(プロフ) - はじめまして!最近見つけて読ませていただいているのですが、本当に最高です…!更新応援しています!! (2021年2月9日 0時) (レス) id: 6aecb490a8 (このIDを非表示/違反報告)
夏目(プロフ) - ハナさん» 感想をいただけると本当にモチベーションが上がるのでそう言っていただけて光栄です(;_;)!!ありがとうございます…!私もハナさんのこと大好きです!!! (2021年1月29日 11時) (レス) id: e14acee8c3 (このIDを非表示/違反報告)
ハナ(プロフ) - 夏目さん» 素敵すぎてついつい感想を伝えたくなってしまって…!私こそ夏目さんのお話に癒しをもらってます!大好きです!!!(ただの告白) (2021年1月28日 23時) (レス) id: aea125837e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:夏目 | 作成日時:2021年1月15日 17時