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一瞬固まったチャニは、去年1年間のオッパとの思い出が駆け巡ったのだろう。
それでもすぐにこちらを見て、「ああ、そうですね、全然、問題ないです」と呟いて自分の前髪を整える。やっぱりちょっぴり動揺しているようだ。
「チャナ、ファイティン。そろそろ邪魔物の僕はサークルに行くことにするよ」
そんな様子を見て呆れたようにぶーちゃんが言う。チャニの右腕にぽん、と触れた後にサークルの部室へと走っていってしまった。
「ヒョン!本当にありがとうございます!」
チャニがそう叫ぶと、走っていたぶーちゃんが振り返って私たちに「ここまで苦労して、お前たち別れたら飛び蹴りするから!」と叫んで、また走っていく。
ぶーちゃんの様子を見て、チャニと2人で顔を見合わせて笑った。
ようやく落ち着いた私が時間を確かめるために時計を見ると、15時過ぎで。午後の授業はサボっちゃおうかな、と空に向かって伸びをする。
「チャニもそろそろ、サークル行く?」
伸びを終えた後にチャニの方をむくと、すぐに目が合う。ぼーっとしながらずっと私の方を見ていたのか、我に返ったチャニが、あ、と口を開いた。
「泣いて化粧落ちちゃってるからあんまり見られると恥ずかしいんですけど」
私が慌てて両手で顔を隠してもあんまり意味はなかったみたいで。彼がふふっと笑う。
「僕、ちょっとまだ夢みたいで、気持ちが追いついてないかも」
少し困ったように言うチャニ。私の頭の上にポン、と手のひらを乗せた。
「ヌナ、よかったら今からデート、」
と、言いかけたところで無常にも鳴り響くチャニのスマホの着信音。…私の耳に聞こえた舌打ちは聞こえなかったことにしておこう。
スマホの向こうから聞こえてくる音で、スニョン先輩だとすぐにわかった。
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夏目(プロフ) - 葵さん» 楽しんでくださりありがとうございます!ディノちゃんの小説が少なかったので自給自足しました(笑)最後のラブラブのために書いた小説なので、番外編ではもっとラブラブを書こうと考えております。お気遣いいただきありがとうございます! (2020年9月20日 9時) (レス) id: e14acee8c3 (このIDを非表示/違反報告)
夏目(プロフ) - mocoさん» 一気に読んでくださりありがとうございます!!とにかくディノくんのカッコ良さにこだわって書いたのでそう仰っていただけて嬉しいです!こちらこそご愛読ありがとうございました!! (2020年9月20日 9時) (レス) id: e14acee8c3 (このIDを非表示/違反報告)
葵(プロフ) - でぃのちゃんの小説少なかったのでとても嬉しかったです!最後ラブラブしてくれて、ニヤニヤが止まりませんでした(笑)お話も凄く読みやすかったです!番外編もあるなんて、感謝でしかありません。ゆっくりで構いませんので、良ければ番外編もよろしくお願いします! (2020年9月20日 1時) (レス) id: 1b7ff15c1b (このIDを非表示/違反報告)
moco(プロフ) - チャニがカッコ良くてキュンキュンしながら一気に読みました。とても気に入りました。良い小説をありがとうございました!! (2020年9月19日 22時) (レス) id: b8fe820ef0 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:夏目 | 作成日時:2020年9月14日 22時