『Secret_Vol.22』 ページ23
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ぐちゃぐちゃだ。
嬉しい、嬉しくてたまらない、夢かと疑うくらい。
ただ本能的に壁があるのだと今日の自身の振る舞いで思い知らされる。
わざわざ家まで来てくれて、言葉を連ねてくれて、全てがはじけ飛んだ様に幸せだったのに。
キャンバスに描かれた自分の拒絶を、ぼかして、塗りつぶして、伏せて。
ずるい、ずっと逃げている、最低な存在。
｢もう嫌や･･･どうしてこんなに苦しいんやろ、両思いやのに｣
その悩みは、普通の恋愛の悩みに変わりなく見えて。
あぁ、俺はまた【普通】に取り憑かれてるんや。
生まれた時から、普通じゃない。
母親に投げられたその言葉の意味をふと考える。
女家系に1人だけ生まれ落ちた男。
そして、恋愛感情を男にしか持てない･･･男。
もし俺が女だったとしたら、こんなに悩まなかったか？
母親に虐げられることも、苦悶しながら藤井さんに思いを伝えることも、なかったのか？
｢･･･あ？｣
耳を貫く着信音。
相手は2番目の姉ちゃんだった。
東京に出てきてから姉ちゃんから連絡が来たことはなかったため、妙なタイミングの電話に戸惑いつつ声を出す。
｢もしもし、珍しいな｣
｢･･･智？今、どこにおる？｣
｢え？どこって、もちろん東京やけど｣
｢大学は･･･どう？｣
｢なしたん急に、別にどうもこうもないよ？｣
今まであまり聞いた事のない、困惑混じりの姉ちゃんの声がして。
本気で何があったのか、心が縛られる。
そして、その心は次の言葉で握り潰される。
｢･･･あんな、おかんが、東京に引っ越そう、って｣
｢･･･え？｣
｢今の家を智に引き渡して、東京行くって言っとった｣
｢それって、俺とおかんたちが入れ替わりで引っ越すってこと？やんな？｣
｢たぶん･･･やっぱり智に話いってなかったんや｣
｢おん･･･あ｣
どうしてそんな大事な連絡をしないのか、と言いかけて思い出す。
心当たり。
こないだ一度だけあった母親からの着信。
そういうことだったのかと事態を飲み込みながら、俺は姉ちゃんの口から話される勝手な決定をただ聞き入れるしか出来なかった。
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岡本まどか(プロフ) - にらさん» コメントありがとうございます！出会えてよかったとまで言って貰えるなんて･･･恐縮です笑 これからもよろしくお願いいたします^^* (2021年2月12日 17時) (
レス) id: 36ad40152b (このIDを非表示/違反報告)
にら - えっ、好きすぎるんですけど？世界観最高すぎやしません？？ほんまにこの作品に出会えてよかったですわ笑更新頑張ってくださいっ！ (2021年2月11日 22時) (レス) id: 34a7964571 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：岡本まどか | 作成日時：2021年2月10日 22時
