『Secret_Vol.19」 ページ20
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｢男同士で愛してる、なんて普通は言わないんですよ｣
そう言っていたずらっぽく笑ってみせると、藤井さんは本気で心配そうな顔をした。
俺は何を口走ってしまったんだ、そう言わんばかりの顔。
｢でも、俺も藤井さんのこと愛してますから｣
だからすかさずお返しの言葉を投げる。
｢･･･え｣
自分がこんなにも悪い男であったとは、と高揚する気持ちを抑える。
どうも俺は確実に好きになっていいものに出会うと人格が変わってしまうらしい。
今まで感じたことのなかった、新しい感情。
｢今、愛してるって｣
｢俺がどうして藤井さんへのあと一歩を踏み出せなかったのか、話してもいいですか｣
｢･･･おん、聞かせて｣
あまりの急展開。
小説のようなマンガのような、ありえないほどフィクションに近いノンフィクション。
あぁ、楽しい。
未だかつて、自分の気持ちをこんなに曝け出せた事があるだろうか。
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｢･･･それで、1度は俺に歩みよったけどまた離れざるを得なかったわけやんな｣
｢はい。こんなにすぐ解決できるならそんな馬鹿なことしなくてよかったんですけど、俺はあんまり強くないので｣
経緯を聞いて納得した。
まず神山家には前提として、男は女と一緒にならなければならないきまりがあったこと。
まぁ、分からなくもない。
未だにそのような方面の恋愛への差別は存在している。
そして彼の母親は特にその目線が濃かったと。
そしてもう1つ、夏希がいたこと。
子供がいるということは1度奥さんがいたということだから男に対してそういう感情は持たないんじゃないか、という認識を聞いてはっとした。
言われてみれば確かにそうだ。
自分の思いだけに悩んでいて全然自覚していなかったが普通はその思考に至る。
俺は彼よりもずっと自分の普通に囚われていたのだと知らされた。
｢でも、もう何も関係ないです。藤井さんの気持ちを聞いて、確かに両思いになれたんですから｣
｢･･･母親のことは｣
｢もう俺も20歳ですし、そもそも男に関わろうとしなかった人が20歳の息子に対して過干渉してくることはないと思います｣
｢さっきそんなに強くないなんて言ってたけど、強いな、神ちゃんは｣
俺より彼の方がよっぽど大人、そんな気がした。
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岡本まどか(プロフ) - にらさん» コメントありがとうございます！出会えてよかったとまで言って貰えるなんて･･･恐縮です笑 これからもよろしくお願いいたします^^* (2021年2月12日 17時) (
レス) id: 36ad40152b (このIDを非表示/違反報告)
にら - えっ、好きすぎるんですけど？世界観最高すぎやしません？？ほんまにこの作品に出会えてよかったですわ笑更新頑張ってくださいっ！ (2021年2月11日 22時) (レス) id: 34a7964571 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：岡本まどか | 作成日時：2021年2月10日 22時
