劇場版コードブルー〜ドクターヘリ緊急救命〜

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Aside


貴「先生！」




雨の降りしきる中、先生の腹から出る血が止まることはなく、地面に溜まった雨水に混ざり、独特の匂いを出している。




貴「先生っ...！先生！」

必死で血を止めようと手で傷口を塞ぐもその間から漏れ出す。






貴「なんでよっ...！なんで？...なんで私と関わる人はみんなこうなっちゃうの？」



雨に濡れた顔に伝う涙はもう雨水なのか、涙なのかわからない。ただ、それ以上に弓野自身の心が傷めつけられていた。





父「...はぁ、はぁ...。...ぉお前が悪いんだ。お前がこんな女を頼るから。」









父の言葉など耳に入ることはない。





ただ、先生の冷たくなった体の感触だけが私の手から伝わる。





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遠くからパトカーのサイレンの音が聞こえてくる。



父は逃げるどころか、その場にへたり込んでいた。






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パトカーが到着し、警察官が父の両腕を掴み上げる。





父「こんな娘のせいで俺が捕まるとは...。ハハハハハ！...っ一生苦しめぇ。お前はそうやって、出会った人出会った人を不幸にする。お前なんか死んだほうが数倍マシなんだよ。ハハハハハ！」



狂ってる。この父親は狂ってる。まだ小さいながらも弓野はそう感じていた。









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この事件後、私は無事に施設に入ることは出来た。

今父親が何をしていて、どんな刑を受けたのか、私は知らない。




こんな父親から解放されたのに、どうしてだろうか。



私の心は渇ききったままだ。





私が唯一信頼を寄せていた担任の先生。クラスのみんなからも慕われ、みんなのお母さんのような、素晴らしい先生だった。クラスのみんなは先生のことが大好きでたまらなかった。なのに...。







クラスの子「Aちゃんのせいで...Aちゃんのせいで先生はいなくなっちゃったんだ！」


クラスの子「いなくなっちゃったのが、先生じゃなくてAちゃんだったら良かったのに。」









苦しかった。同級生にこのように言われ、私は絶望を感じた。この時、忘れ去っていたあの日の父の言葉を思い出した。



『お前は出会った人を不幸にする。』



まさにその通りであろう、と痛感していた。









この日からであろう。私が人に心を閉ざし始めたのは。

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