劇場版コードブルー〜ドクターヘリ緊急救命〜

36 ページ36

看護師「血圧60、脈拍140。搬送中に静脈ライン確保しています。」


貴「移します。」

医師達「1、2、3。」

初療台に乗せられた未知のドレスを藍沢が切る。




藤「なんで今...。」

藤川は悔しそうに唇を噛んだ。




藍「出血性ショックだ。挿管してREBOA入れるぞ。」

貴「RBC6単位。」

名「はい。」

名取が弓野の指示に素早く反応する。

横峯がAラインを取るのをアシストしていた冴島の目に薬指の結婚指輪が入ってきた。



うっすらと開いた未知の目に冴島の姿が映る。未知は苦しそうに、でも、力強く力を振り絞って言った。

未「...あなたもやってね。結婚式。」

冴「...え？」

未「みんなの前で誓えるって悪くない。想いは伝えて。A先生、あなたもよ。」



弓野は無言で頷いた。


未知の幸せだった時間を少しでも長くしたい。彼らはその思いを胸に必死で手を動かす。




、




、




、



緊迫した空気を引き裂くかのようにホットラインが鳴った。

白「翔北救命センターです。」

ホ「木更津市消防よりドクターヘリ要請です。」



橘が初療室に入って来る。

ホ「東京湾を運航するフェリーが濃霧のため海ほたるに衝突。少なくとも20人以上の傷病者。平砂浦総合病院にもドクターヘリ要請しています。」


聞き終えた橘が顔をしかめた。

橘「重傷者もかなり出てそうだな。」

名取が隣のCSに向かって尋ねた。

名「飛べますか？」

町「木更津方面、視界回復したとのことです。飛べます。」

白「わかりました。出動します。」

白石が振り返って指示を出す。

白「藍沢先生とA先生で先に行って。ピストンで私、緋山先生、冴島さん、藤川先生、その後名取先生達は来て。」

名「分かりました。」





名取の声に、横峯、灰谷も強く頷いた。






白石の指示を聞いた藍沢は雪村に声をかける。


藍「行くぞ。」

雪「はい。」

2人は足早に去って行った。




貴「橘先生、富澤さんのことお願いしていいですか？」

橘「おう。行ってこい。」




弓野は橘に未知の命を託し、藍沢達の後を追う。



初療室から去り際、弓野は未知に声をかけた。






、






、






、




貴「富澤さん、絶対に...絶対に生きて。一緒に夕日を見るって約束、私、忘れてないから。だから、生きて...。」








弓野の声に未知は力を振り絞って浅く頷いた。





、





、






その姿を見た弓野は微笑みを見せ、ヘリの方へと向かって行った。

37→←35

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す