劇場版コードブルー～ドクターヘリ緊急救命～ (ページ19)

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NICU に並んだ保育器の列、1番手前の保育器の上で生後6ヶ月ほどの乳児が眠っている。数日前事故で運ばれ、緋山と名取が担当し、なんとか一命を取り留めた。モニターの数値を確認すると、順調な回復具合に名取は頷いた。

緋「休憩時間も心機能のチェック？」

NICUに入ってきた緋山が名取に近づいた。

名「えらいでしょう。俺も熱血医師の仲間入りですよ。」

緋「どうだか。あぁ、あと朝のカンファレンスで言ってた吉田さんのことだけど...。」

名「あぁ。あれはもういいです。さっき白石先生に教えてもらいましたから。」

緋「あ、そう。」

緋山は拍子抜けしたようになる。どうも最近、名取にかわされることが多い。周産期医療センターに移るまでは徹底的に指導してやろうと思っていたのに...。と緋山は思った。

名取はニヤニヤしながら緋山に尋ねた。

名「ケンカ、したんですか？」

緋「？」

名「緒方さん。」

緋「何。聞いてたの。あんたには関係ないわよ。」

緋山のムッとした態度をよそに、名取は冷やかすように続けた。

名「来月から周産期医療センターで医局長でしょう？...大丈夫かな～。仕事も彼氏もって抱え込んでボロボロになっちゃうキャリア女子の典型にならないでくださいよ。」

緋「あのね、私は基本、自分を優先に考えてるから。仕事に響くようなら、彼氏なんか障がい者だろうがなんだろうがスパッと切るから。ご心配なく。」

相変わらず自分のことわかってないなあ。と名取は思う。もちろん、口に出したりなどしないのだが。

名「ならいいですけど。」

名取は一言だけいうと先にNICUを出て行った。
名取の背中を見送りながら緋山は複雑な気持ちになっていた。

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緋山が医局に戻ると、藤川がウェディングドレスのカタログや申込書を前に頭を抱えていた。

藤「あぁー！」

藤川は叫んで身悶える。

緋「...何？」

貴「まだ冴島にドレス決めてもらえないんだってさー。式来週なのにさ。」

弓野は藤川に見向きもせず書類仕事をしながら答える。

緋「いっそのこと辞めちゃえば？結婚式なんか。」

尖った口調で藤川に呟いた。

藤「...は？」

藤川は呆れたように緋山を見つめた。

藤「お前ら仕事以外に興味ないのか。病院大好き、重症患者大好きも大概にしろ。式場ここから車で10分のところにしたから絶対に...。」

話の腰を折るように藍沢、緋山、弓野が立ち上がり医局を出て行く。

藤「お前らー！」