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患者を治療しているときは無我夢中だが、書類仕事となると無駄な思いが頭をよぎる。キーボードに添えた手が長いこと止まり、スクリーンセーバーが起動し始める。パソコンのモニターに映る自分の顔を見ながら緋山は重く憂鬱な息を吐いた。
貴「どうしたの?何ー、恋の悩みね!」
弓野はウインクしながら緋山に決めポーズをお見舞いしてやった。
白「緒方さんのこと?なんかあったの?」
緋「うん。最近、リハビリ兼ねて彼と料理するんだけどさ、まあ面倒くさいのよ。」
貴「へー。緋山が料理で悩むとか意外だね。一緒に住むんだ?」
緋「どっちも不正解。私は料理できなくて落ち込まないし、彼とは一緒に住まない。あ、来週あんたのとこ出てくから。」
火事で焼け出された緋山が白石の部屋に住み始めて早半年。半年という長い期間の中で、緋山は周産期医療センターへの復帰を決め、ようやく出て行く決意をしたのだった。
白「決めた?部屋。」
緋「周産期医療センターから徒歩3分よ。最っ高。あー!やっと1人になれる。っあ、そういえばA、この前横峯達が言ってたあれ、どういうこと?」
貴「あーあれ?ほら、私の専門って心臓血管外科じゃん?それでちょっと推薦きててね。まだ返事は待ってもらってるけど。」
白「え、A先生そんな話きてたの!?」
貴「まあねー。ICU行ってくるわ。」
弓野は席を立ち、担当患者の富澤未知の元へ向かう。
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白「でー?なんで落ち込んでるの。」
緋山は再び今朝の出来事を思い出し、暗い顔になる。
緋「言っちゃったんだよねー。文句があるなら自分が作ればって。作れないのわかってて。ひどいよね。」
白「...」
緋「最低でしょ。」
白石は何と声をかけていいかわからず、戸惑う。
長年の付き合いで、親友と呼べるまでに成長したお互いの関係はとても素晴らしいものだった。
深い人間関係だからこそ生まれてしまう感情があるのだ。
緋「ラウンド行ってくるわ。」
緋山は何か吹っ切るように勢いをつけて立ち上がった。
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人間は厄介だ。
わかっているが、それが原因で対立したり、すれ違ったりー...。
白「あーもう。」
白石はマグカップを持ち、スタッフステーションを後にした。
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彩架(プロフ) - 21の「道」→「未知」ですよ (2018年10月27日 23時) (レス) id: d02e226a01 (このIDを非表示/違反報告)
AK - 41 「重症」が「受賞」になってます (2018年10月1日 9時) (携帯から) (レス) id: cb44cdb910 (このIDを非表示/違反報告)
すとろべりー(プロフ) - lovemimiさん» アンケートありがとうございます!そう言っていただけて嬉しいばかりです。 (2018年9月18日 22時) (レス) id: 69bfdd0b73 (このIDを非表示/違反報告)
すとろべりー(プロフ) - 桜さん» アンケートありがとうございます!更新頑張ります! (2018年9月18日 22時) (レス) id: 69bfdd0b73 (このIDを非表示/違反報告)
すとろべりー(プロフ) - ミカドさん» アンケートありがとうございます! (2018年9月18日 22時) (レス) id: 69bfdd0b73 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:すとろべりー | 作成日時:2018年9月5日 21時