つなぐ手と手

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｢いの......ちゃん？｣
山田が目を覚ますと伊野尾はベッドに顔を伏せ寝ていた。
｢うぅん？......山田？｣
｢......赤ちゃんは？｣
｢大丈夫。でもしばらく寝たきりの入院だって。｣
｢困るよ。ドラマの撮影まだ終わってないのに......｣
｢山田。今回はどう頑張っても仕事に穴空けるしかない。｣
｢いのちゃん......｣
山田は泣きながら布団で顔を隠した。
｢......あれっ？外真っ暗。｣
伊野尾は携帯で時間を確認した。
｢8時20分......着信がいっぱい来てる。｣
着信履歴を確認すると有岡からもの凄い量の着信とLINEが1件。
『涼介に電話しても出ない。病院終わり次第電話ちょうだい。』
の内容だった。
｢山田って倒れた時大ちゃんと一緒じゃなかったの？｣
｢うん。帰ったら大ちゃん居なかった。だから1人で夕食の買い物行ったらお腹痛くなっちゃって。出血もしちゃって。｣
｢ちょっと大ちゃんに電話してくね。｣
伊野尾はロビーへ行き事を全部話した。
｢オレ今からそっち行くよ。｣
｢面会時間9時までだから明日にした方がいいよ。｣
｢じゃあオレ、社長に連絡しとく。｣
電話を済ませると山田の病室に戻り
｢帰るね｣
と行って病室を出た。
そのまま薮の病室へ向かい薮にも事を話した。
｢それで全然戻って来なかったんだ。｣
｢病室510号室だから調子良かったら行ってあげて。｣
｢オレの病室410号室だから真上かぁ。｣
｢ごめん。面会時間終わっちゃうから帰るね。｣
そう言うと伊野尾は薮のほっぺにキスをして帰って行った。

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