踊ってよ君らしく ar×in♀

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「....ね....だい...ねぇ....大ちゃんってば！！」




「えっ....あ、それでそれで？」




「もう、絶対話聞いてなかったって。ボケっとしてたもん。大丈夫？」



目の前に座っている裕翔は少し心配そうに顔を覗き込む。



そうだ、今は裕翔と最近流行のバンドについて喋ってたんだった。



いつの間にか完全に上の空だったらしい。



「いや、最近色々あって」


「有岡君なんかあったの？」



俺の様子を見て隅のソファでケータイを弄っていた高木もこちらにやってきた。



2人して俺の前に座り、さぁ、何でも話してよというような目で見つめてくる。




「あの、プライベートな話だから。ごめん私情仕事にまで持ち込んで」



お願いだから今は触れないでそっとしておいてもらいたい。


ほぼ生まれて初めての失恋。始まる前から終わっていたなんて笑ってしまう。


告白しようとお店に行ったあの夜から、ずるずると気持ちを引きずってこの有様だ。


どうやら自分は気持ちが上手く切り替えることが出来ない性らしい。


2人と顔を合わすのが気まずくて苦しくてあの日から店にも行かず、間もなく1カ月が過ぎようとしていた。




「有岡君元気無いとパッとしないよねぇ」


「まぁ、言いたくないなら無理強いはしないけど」




撮影の呼び出しがかかり、スタジオに入る。



そこにはつい先程まで撮影をしていた知念と山田がいた。



「次は集合での撮影になりまーす。それじゃあ、よろしくお願いしまっす」




顔馴染みのカメラマンがそう告げるとすぐに撮影が始まり、各々指示通り顔をくっつけ合ったり肩を組んだりする。




「有岡君、ちょーっと顔怖いから笑顔でいこっか？」


「っすみません」




笑っているはずなのにそんな指示が聞こえてきて、慌ててさらに口角を上げると、そうそうそんな感じと言われた。

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