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カランカラン
「わ、お久しぶりです有岡さん」
「こんばんは」
「大ちゃんいらっしゃい」
「やっほー圭人。髪伸びたね」
「そう、もうそろそろ切りに行こうかと思ってる」
少し重い木調のドアを開けると2人に迎えられた。
久しぶりに来たが以前と変わらず安心感に包まれる。
そしていつもの席に着くと圭人が待ちきれないとばかりに話を切り出した。
「最近大ちゃんのCM、テレビでメッチャ流れてるよね」
「あ、それ私も見ました!キミも一緒に楽しもうよって」
丁寧に振りまで付けて、空のグラスを片手に持ちながら楽しそうに真似をする伊野尾さん。
可愛らしいという言葉が良く似合うその言動に思わず心が疼く。
「ふふ、俺もまさかこんな大々的に流れるなんて思わなかったから自分でも驚いて....」
・
カランカラン
「いらっしゃいませー」
何気なくドアの方に目を向ける。
「っ何で....」
一瞬何が起こったのか分からなかった。
自分の目を疑うような光景に息をするのも忘れる。
「やっぱり大貴、最近付き合い悪いと思ってたらここに来てたんだ」
「知念....」
「俺らも来ちゃった」
「やっほー大ちゃんさっきぶりだね」
「大ちゃんがこんな大人っぽいBarを知ってるなんて驚きなんだけど」
知念に続いて高木、裕翔、山田がゾロゾロと店の中に入ってきた。
なんだよ、全員で俺の後付けてたのかよ。
マスクやグラサンを身に着けている彼らは見るからに怪しい集団だ。
「ごめんね、有岡君。後をつけるような真似をして。知念に『ぜぇ〜ったい大貴何かしてるよ。最近なんか雰囲気良いのと関係してると思う。これは突き止めるしかないでしょ』って言われて、皆これからオフだったし、付いて来ちゃったんだ」
申し訳なさそうに眉毛を下げて俺に謝る高木。
「いや、謝ることなんてないけど....」
「ねぇ、大貴怒ってる?」
知念の大きな瞳に顔を覗き込まれる。
「別に....怒ってないよ」
怒ってはいないが、この場所をメンバーに知られたのは何故かあまりいい気分ではなく心に引っ掛かった。
こんなこと思ってはいけないと思いつつもモヤモヤが消えない。
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トコロテン(プロフ) - コメントありがとうございます。これからも大好きな作品だと思ってもらえるように自分なりに頑張ろうと思います。 (2021年4月11日 10時) (レス) id: c29fd865d8 (このIDを非表示/違反報告)
涼芽 - この作品が大好きで、いつも学校終わりに楽しみにしてます! (2021年4月9日 22時) (レス) id: a4663d5dbf (このIDを非表示/違反報告)
トコロテン(プロフ) - 感想ありがとうございます。そう言ってもらえると自信に繋がります。ただ、このお話読んでくださってる方のほとんどだと思いますが、私も現在、また心が病み気味なのでしばらくは更新しないかもしれません。ゆったりお付き合いください。 (2021年4月7日 11時) (レス) id: c29fd865d8 (このIDを非表示/違反報告)
くるみ(プロフ) - はじめまして。トコロテンさんが書く作品、大好きで話が更新されると嬉しいです! 何度も読み返しています。これからも無理せず続きを書いてくれたら嬉しいです。楽しみに待ってますね。 (2021年4月7日 7時) (レス) id: 5307737ff6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:トコロテン | 作成日時:2020年6月8日 14時