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「え、大ちゃんそれメチャクチャいいじゃん！」
「だろ？あとはさ、圭人がもし....」
「あの、盛り上がっているところ申し訳ないんですけど、そろそろ閉店時間なんで」
本当に申し訳なさそうに眉毛を下げて言う伊野尾さんを見て、もうそんな時間かと時刻を確認すると、とっくの昔に日付が変わっていたことに気づく。
ここに来た時にいた客ももう既にそれぞれの家に帰ってしまい、店内には３人しか残っていない。
初めはぎこちなかった彼との会話も、酒が入り話が進むうちにすっかり打ち解け、今では敬語も外れている。
まぁ、年齢を聞くと彼の方が年下だったからというのもあるが、なんといっても話し上手、聞き上手な彼のおかげで、この歳になってこんなにすぐ打ち解けることができる人に巡り合うなんて考えもしなかった。
「あー今日はほんとに楽しかったよ。じゃあ、またここで会おう。じゃあね、大ちゃん、伊野ちゃん」
「ありがとうございます。圭人さん」
「バイバイ圭人」
彼はギターを肩に引っ掛けると颯爽と夜の街に消えていった。
「じゃあ、僕もそろそろ帰ります」
「また来てくださいね。今日の有岡さん圭人さんと会話されているとき本当に楽しそうで、私まで嬉しくなりました」
「はい！とても楽しかったです。
今日ここへ来たときは伊野尾さんに心配されるくらい自分自身暗くなってて....すみません。
でも、圭人と喋って伊野尾さんが作るカクテル飲んで時間を過ごしたら随分楽になりました」
「そうですか、また辛くなったら....いえ、そうでなくてもいつでもここへいらしてください。ここで待っていますから」
そう言うと彼女は穏やかに微笑んだ。
店から外に出ると思いっきり夜を吸い込こみ、ゆっくりと吐き出した。
澄んだ涼しい空気。空には無数の....とまではいかずも、星が温かく輝いている。
新月だからなのか、月は見当たらない。
目を瞑ると、今日ここで出会った客、今日出会った圭人との会話、そして伊野尾さんの包み込むような笑顔を思い出す。彼女の店は本当に素敵なお店だ。
よし、また明日から頑張ってみよう。
俺は家に向かって足を踏み出した。
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トコロテン(プロフ) - コメントありがとうございます。これからも大好きな作品だと思ってもらえるように自分なりに頑張ろうと思います。 (2021年4月11日 10時) (
レス) id: c29fd865d8 (このIDを非表示/違反報告)
涼芽 - この作品が大好きで、いつも学校終わりに楽しみにしてます！ (2021年4月9日 22時) (レス) id: a4663d5dbf (このIDを非表示/違反報告)
トコロテン(プロフ) - 感想ありがとうございます。そう言ってもらえると自信に繋がります。ただ、このお話読んでくださってる方のほとんどだと思いますが、私も現在、また心が病み気味なのでしばらくは更新しないかもしれません。ゆったりお付き合いください。 (2021年4月7日 11時) (レス) id: c29fd865d8 (このIDを非表示/違反報告)
くるみ(プロフ) - はじめまして。トコロテンさんが書く作品、大好きで話が更新されると嬉しいです！ 何度も読み返しています。これからも無理せず続きを書いてくれたら嬉しいです。楽しみに待ってますね。 (2021年4月7日 7時) (レス) id: 5307737ff6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：トコロテン | 作成日時：2020年6月8日 14時
