アホ犬と男装御主人様！！ (ページ41)

今日:29 hit、昨日:0 hit、合計:15,685 hit

　《第四十匹》ページ41

生徒会室、と書かれたプレートの下のドアを開き、学校の教室にしては高級すぎる部屋に連れてかれ、かれこれ10分は経った。
　今は連れてきた男らも、あの執事みたいな奴もおらず、2人きりだ。

　男と2人きりでドキドキは全然しないな。少女漫画のヒロイン達の心臓が悪いだけではなかろうか？

　そんな事はともかく、話に聞くところ、ようは───

「つまり、俺がお前のSP兼執事をしろと？」
「そういう事だ。時期にお前の父から話を聞くだろう」

　その部屋と違うことなくその生徒会長が座るソファも、高級なものでふかふかだ。お尻なんて痛くなるはずもない。
　椅子に足組をして話す生徒会室こと、名を一ノ瀬煌(こう)という、金髪のイケメン野郎は、優雅にコーヒーカップを傾ける。

　その男に、Aは即答した。

「嫌だ」

　その返答に、ぶっと口に含めたコーヒーを飛ばし、Aの顔にかかる。勿論、Aは不機嫌そうな顔を浮かべて、生徒会長を睨む。

「汚いな、何だよ」
「悪い。だが、そう、嫌だと言われてもな……。別に俺が決めた訳でもないし、勝手に親達が結んだ話、契約だ。俺達子供に決める権利はないしな」

　確かに生徒会長が悪いわけじゃないが……。

「ん？そう言えば、生徒会長の名前知らないな」
「知らないのか？自分の学校の生徒会長の名前位知っとけよ……」
「興味ない」
「……そうか。もういい」

　あきらめた様子で生徒会長はため息をつく。

　そのため息をついた姿ですら様になる生徒会長は、まさしく美青年で、身長は175cm程度。女子にモテるだけあって、顔はかなり整っている、生徒会長。目を引く金髪碧眼に、スッと通った鼻筋。それはもう、ほぅ、と嘆息が漏れる程、見目麗しい。
　その男は、自信に満ち足りた顔と態度で、自らの名を告げる。

「一ノ瀬煌(こう)だ」

　声ですら、聞き惚れてしまうほどのボイスな訳だが、

「へぇ。まぁ、別に生徒会長の名前がどうであれ、どうでもいいが」

　その魅力ですらもスルーするAなのであった。

「いや、聞いといてそれはないだろ？」
「生徒会長って呼んで通じるし、覚える必要性ないだろ？」
「そうなんだが、こいつめんどくせぇ……」

　うわぁ、と。遠い目をして、言う一ノ瀬煌こと、生徒会長はこんな奴が本当に執事兼SPになって大丈夫かと、もう心配になったのだった。