アホ犬と男装御主人様！！ (ページ23)

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《第二十二匹》葛藤ページ23

「じゃあいっそのことどっちともやらせればいいんじゃないか？」
「「いいね！それ！」」
「ぶっ！」

　委員長のそのセリフで、俺は、飲んでいたコーヒー牛乳を吹き出してしまった。
そりゃあびっくりもするだろう。好きな女の子が、コスプレしている姿を半日どころか、1日中見れる、などという事が起これば。

俺、三瀬(みせ) 慎也は、Aが好きだ。勿論、Aが男だと思っていた時は、恋愛感情など無かった...はずだ。多分。
まぁ、Aと隼人の幼なじみとして関係を築いてきた訳だが...。

勿論当時は、友人として、幼なじみとして、危なっかしいあいつらが心配なだけ、って言うだけだったと思うが、ある日を境に、女だと言う事に気付いた俺は、いつの間にか、気になって仕方なくなっていた。

と、まぁそんなどうでもいいことはさて置き、Aのそんな姿を拝みたいのは、やはり男子である以上、当然の話である。

...それに、もしかしたら、女子の部で、女の恰好させたら、流石に隼人も気付くかもしれねぇしな...。

そしたら、あいつの、隠れている感情を引き出せっかもしれねぇしな...。そんな事を思いながら、パックのコーヒー牛乳をもう一度飲み始める。

さて、Aを何て言いくるめようか...。と、まぁ考えるまででもないか。

「おい、ちょっと待て。俺の意見は...」

やっぱりそうなるよなぁ。
そう思って、腕を肩に組んで、耳に囁いた。

「午前と午後、どっちとも出たら、俺ん家のスペシャル苺盛りケーキと、いちめろ、いくらでも食べていいぞ」
「ふぁっ...」

何を想像したのか、よだれを少し垂らしたけど、すぐに拭き取って、すぐにいつも通りのような表情をし(たつもりなのだろう)て、こっちを向いて、聞いてきた。

「ほ、本当だな？」

...止めろよ！んな、可愛い顔してこっちを見つめてくんなよ！
いいの？いいの？って今にもいいそうな勢いで見つめてくるAに、出来るだけ冷静に答えた。

「あぁ、本当だ」

顔を赤くしてなきゃいいが。出来るだけ、余裕たっぷりの顔で答えてやる。じゃねぇと、まだ本当にいいの？顔で言ってくるからだ。

「その、意地悪をするような顔はうざいが、そんなに言うんだったら仕方ない。やってやる」

子供みたいに喜ぶことはないにせよ、Aのアホ毛が楽しみ～♪と言っているのだから間違いない。いや、可愛いんだけどさ？

「素直で宜しい」

その後、苺を皆から貰っていたAは幸せそうだった。