Call My Name ！ Ⅱ (ページ45)

今日:3 hit、昨日:12 hit、合計:958 hit

#91 ページ45

＊

　………あの日、私が黄瀬を好きだと気づいた日から何かと突っかかってくる。いい加減にして欲しい。

　そんな私の気持ちを知ってか知らずか、………つーか知らないフリしてアッソウ、じゃー後でね！なんて言って敵チームに行ってしまう。なんなんだ一体………

　なんて思いながらも、ちらりと黄瀬のいるコートを見る。

　｢またゴールされた！｣

　｢誰だ！？｣

　｢黄瀬に決まってんだろ！！！！｣

　｢黄瀬ナイス！｣

　｢完璧かよ！滅べ！｣

　華麗なシュート、先程の私と違ってちゃんと敵ゴールに入れた黄瀬。

　敵は歯ぎしりし、味方は大喜びだ。その真ん中で1人悠然と立ち、服で汗を拭いてる。それが悔しいけどかっこいい。

　ボクシング以外からきしの私と違って黄瀬はどのスポーツでも目立つ、というのは球技大会もそうだけど体育の時間も同じだからよくわかってて。それがまた悔しいしかっこ｢黄瀬くんかっこいーよねー｣………！

　クラスメイトの子の声が耳に入ってくる。

　｢黄瀬ってだあれ？｣

　｢ほら、あのいつも教室に来る金髪の身長高い子！｣

　｢知らないの～？あのバスケ部の｣

　｢そうそう、黄瀬涼太クン！｣

　｢わかる！あの子凄いかっこいいよね～！しかも優しい！モデルだし！｣

　｢ファンクラブあるみたいだよー？｣

　｢ほんと！？入ろっかなぁ………｣

　……そう、自分の思うことってのは、大抵他人も思うわけで。

　長身で、顔小さくて、長い睫毛が印象的なイケメンで、スポーツ出来て、いつも分け隔てなく笑みを向ける。

　世間一般の女子の理想を詰め込んだような奴だ。好きになる子がいてもおかしくない。でもまさかファンクラブまで設立されてるとは思わなかった、私の記憶が正しければアイツは3か月前入ったばっかの小僧のはず。

　ズキ、…………。

「…………ッ」

　来ました来ました、恒例の胸痛。最近黄瀬のことを考えると胸が痛くなったり、ほわ、とあったかくなるのです。

　わかってる。これは好き、という感情。自分以外の女子に好かれるのが気に食わない。仕方ない事なのにどうしてもそう思ってしまうからタチが悪い。

　ピーッ！！！！

　終了の笛がなる。試合と共に私の思考もそこで一旦打ち切られる。もう少しで四限終わりのチャイムがなる時間だ。先生の許しをやっと得た私はもやもやする心を無視して片付けに参加した。