Know . ページ47
＊
｢何しに来たの、ヒナちゃん｣
｢えっと、……龍嘩さんに、体操着を返しに来ただけです。もう、帰ります｣
｢いや待てい！｣
｢きゃっ｣
ヒナちゃんが帰ろうとするのを龍嘩が止めた。真っ赤な顔で、言葉を紡ぐ。
｢話聞いてた！？甘いもの！食べに行こう！ヒナちゃん甘いの嫌い！？｣
｢そ、そんなことはないですけど……｣
｢………おい、リューカ、やめろ。ヒナちゃん帰らせてやれ｣
＿＿＿＿俺が近くにいたら、タケみっちの大事なお嫁さんを傷つけてしまう。
それはだめだ。タケみっちと約束したんだから。傍に居ちゃ………
｢？変なマンジロー、付き合ってないとはいえ知り合いなんでしょ？なら、遠慮する必要なんてないわ。
それに、またカス学の連中に絡まれたら可哀想だもの。ね、ヒナちゃんだめ？｣
｢う、………そんなことは、ないですけど｣
｢シャ！じゃ、私靴だけ替えてくる！ちょっとまってて！｣
｢おい！｣
龍嘩はピューッと行ってしまった。
ヒナちゃんと2人になる。何を話せばいいのか分からないでいると、ぽつり、ヒナちゃんが言った。
｢＿＿＿マイキーさん。タケミチくんが、未来から来ています｣
｢＿＿＿＿｣
言葉を、失った。
タケみっちが、また過去に来た。
東京卍會は解散した。稀咲は死んだ。
もうヒナちゃんが死ぬことは無い。
でも、来たということは＿＿＿きっと、俺の為だ。
タケみっちはそういう奴だ。
｢＿＿＿＿そうか｣
声を絞り出した。ヒナちゃんの顔を見れない。きっといい気持ちは持たないだろう。
｢おまたせー！………って、2人とも暗いわ。凄く。
辛気臭い顔をしてるふたりにはーーーー私の知り合いがやってるカフェにごしょうたーい！｣
｢わっ｣
｢きゃっ！｣
龍嘩は能天気にそう言って俺達の腕を抱いて歩き出した。龍嘩はヒナちゃんをケツに乗せて、俺はその後を追った。
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作者名：O | 作成日時：2021年10月17日 17時
