Accomplices . ページ24
＊
俺は龍嘩の後ろに乗りながら、ヘルメットを抑える。
…………大切なモンには、ヘルメットを被せるのか。
つまり、俺は龍嘩にとっての『大切』になっているんだ。
こんなに、胸が騒がしくなることがあるのだろうか。………こんなに顔が熱くなることがあるのだろうか。
シートに乗せるのも大切なモンだけ。
＿＿＿こんな風に扱われたのは、初めてかもしれない。でも、よくよく思い出せばシンイチローも俺にヘルメットを必ず着けさせていた。
＿＿＿お姉ちゃん、居たことねーけど、こんなに背中が大きく見えるモンなのかな？
知らねーけど、………寒いな…………あ？寒い？
ふと、気づく。風切り音がいつもと違う。というか、滅茶苦茶早い。
後ろからメーターを見ると、100km超えてる。は……？
｢………リューカ｣
｢あん？何？｣
｢スピード出しすぎ｣
｢真面目か。80kmで走る位なら単車乗らんわ。この龍ちゃんはカスタム済だから大丈夫よ｣
｢ケーサツに捕まるよ｣
｢マッポ怖くて暴走族は出来ないでしょ。それよりどう？風が気持ちーでしょ？少し流すか＿＿【おぉいそこの馬鹿龍！】うおっ！｣
｢ッ！｣
大声が聞こえた。ちら、と後ろをむくと＿＿＿白バイが。言わんこっちゃない。しかし、龍嘩は怯えることなく大声を出す。
｢相沢先輩！アンタまだ巡視官なんすか！出世しないんすか！控えめっすか！｣
【ちげーわ！直管マフラー外した改造機なンて古い単車はテメエしかいねーから俺が出張ってやったんだヨ！俺はもー刑事だ！】
｢ハンッ、そんなの聞いてませーん。今デート中だからどっか行ってよ色男｣
【テ、メ、エ、ワァ！何処のオンナ攫ってきたんだ！？そのケツに乗せたオンナ！テメエがシートに乗せるっつーことはいーオンナなんだろ！紹介しろ！】
｢………俺、男なんだけど｣
｢カカカッ、いーじゃんマンジロー、よっ！後ろ美人！アイツのブツはビョーキ持ちだぞ。
でも安心なさいな、……私が捕まるわけないんだから、さ！捕まってなよ！｣
｢うおっ！｣
龍嘩がまたアクセルを踏んだ。顔面スレスレに車が通る。信号も無視……というか、信号のない道を進んでいる。
＿＿＿これが、30年前の不良の世界………！
そう思うと、さっきとは違う胸の高鳴りを感じた。白バイとの鬼ごっこは龍嘩の並外れた運転テクで辛うじて逃げ勝ったのだった。
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作者名：O | 作成日時：2021年10月17日 17時
