ヘタ鬼 〜貴方達にもっと力を〜

【１９２】　イヴァンにとって ページ14

「うーん…。普段と違うことをするのも楽しいと思うけど、
　僕は普通の日常も十分楽しいんだよね」


『確かに毎日退屈し無さそうだよね』


「アルフレッド君が無茶な事言って、それにアーサー君が反論して
　二人にはんたーいってフランシス君が茶化して言い争いが始まって」

聞くだけでも目に浮かぶようだ

「それで、本田君が自分の意見を言わないで王君に怒られて」

日本人の性です、ごめんなさい

「フェリシアーノ君が会議に遅刻してきてルート君の胃がさらに痛んじゃったり。
　アントーニョ君は内職してたりで会議が躍るんだよ。
　今日も何も進まなかったねって」

きっとマシューもその場にいるだろうけど
気付かれてないんだろうなぁ…

『ルートは苦労人だね…。
　イヴァンは？その間何してるの？』


「僕？僕はその間面白いなーって皆を見てるよ」

ニコニコ笑顔で呪ってるんですね、分かります

『めちゃくちゃな日々でもイヴァンにとっては大切なんだね』


「うん。だから、僕は僕の楽しい日常を取り戻すためにも
　ここを絶対に皆一緒に脱出したいんだぁ」

そう言って笑ったイヴァンは
ただ純粋に心から皆が好きなんだなぁと思った
姉さんやベラルーシも心配するし、と
苦笑いしながら付け加えているのは
素直じゃないなとも思った

『じゃあ、イヴァンの日常のためにも頑張りますか！』

よし！と意気込みを新たに
話している間に先に部屋に入ってしまった皆の元に向かおうとしたら
「Aちゃん」と呼び止められた
イヴァンの方を振り返る

「Aちゃんも、今は僕の日常の中の一人だからね？
　きっともっと楽しくなると思う。
　だから…」

何となくその後に続く言葉を聞いてしまったら
折角の決意が揺らいでしまいそうだから

『イヴァン、ありがとう。
　ほら！早くしないと置いてかれちゃうよ？』


「うん…」

聞く勇気を持てない僕をどうか許して



〜続く〜

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