ヘタ鬼 〜Gradirei scappare〜

【１７４】　復活 ページ41

「フェリシアーノ君！フェリシアーノ君！」

フェリの手が動いたのが見えた菊だけが、周りが戸惑っているのを
気にもとめず取り乱しながら名前を呼び体を揺らす
まぁ、僕も見えたんだけどね？分かってたから焦らないよ？

「ほ、本田？」

見えなかったルートは菊を止めようと近づいていく
はたから見れば菊は不審な行動とってるようにしか見えないからね

その時だった

ぅ…とフェリが苦しそうな声をあげたのだ
眉をひそめて今にも目を覚ましそうである
全員が驚いたようにフェリに視線を向けその時を待った

「フェリ…シアーノ…？」

ルートが名前を呼んだと同時に
聞こえていたのか答える様にして目を覚ました

深い眠りから覚めたばかりで覚醒しきっていないからか
どことなくぼんやりとして天井を見上げている
自分の状況を把握出来ずに混乱をしているのかもしれない

「…神聖…ローマ…？」

ふと、天井から、近づいて見下ろしてきたルートを見たフェリは
何を思ったのか“あの子”の名前を口にした

夢の中でルートの代わりとしてあの子がいたためだろう
まだここが現実である事を理解していないのかな？

「！！」

フランシスとギルベルトが明らかにフェリの言動に対して動揺している
２人はあの子の事を知っているからルートを見て言った事に驚いているのだ

「…？神聖ローマは俺の兄貴だが…」

何故フェリが自分を見て兄の名を呼んだのか分かっていないようだ
菊など、会ったことがない者も分かっていない
ルートがあの子と瓜二つなほど似ているなど知りもしない

この場で理解しているのは少数だろう

「え…。あっごめんねルートだよね。アハハ…何言ってんだろ俺」

少しずつ頭がさえてきたのか目の前の人物がルートだと気付いたらしい
寝たままだったので起き上がろうとしたのを菊がさりげなく手伝っていた
さすが日本、我等が祖国

「気分悪いところないですか？痛い所はありませんか？」

菊がフェリの体調を気遣って聞くが、大丈夫だと答えられた
フェリは、ぼーっと虚空を見つめながらぼそぼそと何があったのか話し始めた

「…夢を見てたんだ」

夢とは前に僕が話したあの子が見せたやつだよ
何があったのかは僕も知らない
なんたって、ここから先は未知なのだから

「夢、か」

ギルが何かを考えているのか難しい顔をしながら言葉を繰り返した

「そう、夢。俺を助けてくれたんだよ」



〜続く〜
そしてまた書き方変えてすいません！

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