【ヘタリア】ヘタニア国物語

迷った先で５　†Green† ページ47

〜菊side〜

A：で、でも、菊さんが敵であって敵ではないってどういうことなんですか？

菊：…少なくても今は…ということです。

A：えっ…今…は？

『今は』という言葉を受け、目を見開くAさんに私ははゆっくりとうなずいた。

菊：私が自分の意志以外で動くのはあの方に命令されたことのみ。
私は貴女が異国から来た者であろうと関係ありません。
助けたいと思ったら助ける…それだけです。
だから、今は貴女の敵ではない。
しかし、関係的には敵同士になる…ということでしょうか？

Aさんは眉間にしわを寄せ、首をかしげている。

しかし、これでいいのです。

この言葉の意味を理解してしまえば、全てを知ることになるのですから。

菊：さあ、もう兵士がいないからと言ってここが安全とは言えません。
他の者は貴女を見つけたら容赦しないでしょう。
Aさん、早く魔法を。

A：あ、はい！

私に言われ、Aさんは魔法を使い始めた。

A：Move！！

その言葉を放った瞬間、幻想的でほのかな光が彼女を包む。

これで、お別れだ。

そう思った時、

A：《ﾆｺｯ》ありがとう！

笑顔を残し、消えていく。

あんなにきれいな笑顔を見たのは何年ぶりでしょうか？

ずっと戦いばかりでした。

くる日もくる日もずっとずっと…

笑い方さえ忘れてしまいそうなほど戦ってきました。

しかし、私は戦い続ける。

間違っていたとしても。平和が訪れなくても。

私はあの方に従い続けます。

あの方は一人になってしまいました。

ずっと自分を傷つけた。責めてきた。

…そして、変わってしまったのです。

だから、あの方を一人にしてはいけない。

これ以上、あの方を変えてしまってはいけないのです。

菊：…さようなら…Aさん。

胸が締め付けられ、息をするのも苦しくなる。

きっとこれは「恋」というのでしょうか？

たったあれだけの時間でしたが、久しぶりに楽しい時間を過ごさせていただきました。

しかし、この思いは胸の内にしまっておくとしましょう。

そして、もう貴女に会わないことを願います。

だって、次に会うとき、

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私は貴女の敵ですから。

＊紗雪's room＊あとがき→←迷った先で４　†Green†

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