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お構いなしに進むから、本当にただ言いたいことだけ言って帰るんだと痛感する。結局、容赦ない君に君に優しさなんてあるわけないのか。次に来た時は引摺られながら会議へ出席することになるかもしれない。
振り向くことなく、外履きを履いて、鍵が開けっ放しの扉から外の光が垣間見えた。
「じゃあな」
こんな時にも振り向かない。
だから仕返しに、無言で手を振りながら見届ける。ありがとうの一言も言えないまま行ってしまう。
特別仲が良いわけでもない君と次どんな顔して会えばいいのか。
次回訪問に来た時の対処を考える中、心臓が一度変に鼓動した。
動悸だ。
どうした。
彼は足を止めたのだ。まだ玄関に留まっている。何か忘れ物？どうかしたの？
彼が止まったことに何か期待したわけじゃない。動悸の原因はこれじゃないんだ。だって、彼は自分の意志で止まったわけじゃない。
止めたのはまた、自分の手。掴むのは彼の服。
どうしたの。私。
『なんでそこまで心配してくれたの？』
あぁ、うん。そうだ。至って素朴な疑問。なんでなの？なんで君が来たの？君と家が近いわけじゃないもんね。
どうせ自分の仕事に影響が出るからだとか言うんだろう。分かりきった答えに、何故こんなどうでもいいことをわざわざ足止めしてまで聞いたのか。自分でもよく分からない。
シンプルな質問だと思う。質問しておきながら返答を想像できるくらいには答えるのは簡単だと思う。
しかし、どうしてか返事が聞こえない。
『……スイス？』
何か、言えない理由でもあるのだろうか。
すると、彼は、振り向いた。振り向いた。不快そうに眉を顰めた、熱っぽい顔をして。
なに、傷心中にそんな顔しないでよ。勘違いしても仕方ないじゃないか。君らしくない。
ぎゅっと結ばれたような口は、暫く待ってようやく開いた。
「隣にお前がいなければつまらないであろう」
『ん？』
つまらないって、席くらい移動させてもらえるよ。それに反対側のお隣さんはいるよね？
隣？お前ってなに？言葉の意味が分からない。警戒心の強い彼が珍しく素直な気がする。なんで？私以外に話せる人いないの？そんなわけないよ。
「………もう吾輩は行くのである！！」
『あっ待ってよ！スイス！』
今度こそ外へ足を踏み出してしまった。振り向くことなく、早足で。
残された私も気がつけば顔に熱が溜まっていた。
鍵、閉めるのが少し惜しい。
次、どんな顔して会えばいいの。
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夏(プロフ) - ぽてちさん» こちらこそ読んでくださりありがとうございます!!✨✨今回は書くのに少し苦労したので、ロマの気持ちが充分伝わったならとても嬉しいです……！コメントありがとうございます🥹 (10月11日 19時) (
レス) id: ebedb84d25 (このIDを非表示/違反報告)
ぽてち(プロフ) - 苦しすぎて泣きました。心情がロマそのものでお話にのめり込みました...ロマ...悲しいよ...！！！素敵なお話ありがとうございます😭😭これからも応援してます！✨😊 (10月10日 16時) (レス) @page24 id: b72c422986 (このIDを非表示/違反報告)
夏(プロフ) - ぽてちさん» わわわっありがとうございます！✨😭🙏🙏刺さったようでよかったです😊 (8月27日 19時) (レス) id: ebedb84d25 (このIDを非表示/違反報告)
ぽてち(プロフ) - ドストライクでした...大好きです...！物語の描き方とかストーリーが好きすぎて悶えました。推しをありがとうございます！！！ (8月27日 19時) (レス) @page5 id: b72c422986 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：夏 | 作成日時：2023年8月27日 16時
