私立ヘタリア学園〜イギリスとの恋物語〜last part

２６１話　回想 ページ39

卒業した日のことは昨日のことのように覚えている。


あれから私は、自分の国であるシトラルに帰って来ていた。

カオルさんに『もっといい国になるように頑張る』と宣言したこともあり、もっとみんなが住みやすい国になるよう、仕事に励む日々を送っている。

相変わらず日本のお世話になりっぱなしだけど……



以前と変わったことといえば、吉田たちが日本にくっついて遊びにくるようになったことかな？

弟子三人組は無事に全員そろって大学に合格したらしく、楽しいキャンパスライフを送っているそう。
バイトしてお金貯めて、他のみんなの国にも遊びに行く計画を立てているみたい。

「弟子としてはやっぱり、最初はイギリスだよな！」
と言っていたので、旅行の際には調味料を持参することを勧めておいた。



イギリスとは離ればなれになってしまったけれど、仕事の合間に会うようになった。
頻繁ではないけど、そのために仕事を頑張ろうを思える。

会えない日々が続くとやっぱり寂しいけれど……
そんな時は指輪を見て、あの日のイギリスの言葉を思い出すようにしている。

『これからも俺の気持ちは変わらないからな』

A「……信じてる。だから、離れていても大丈夫だよね」


それから本人には内緒だけど、たまにマウリツォさんからイギリスの様子を綴った手紙が届く。
彼の新しい一面を垣間見ることができるので、それも私の楽しみの一つになっていた。



他のみんなも、それぞれの国に帰って相変わらずにしているらしい。

たまに女子会を開催するんだけど、ハンガリーの情報網がすごい。
わたしたち「国」だけじゃなく、同級生の卒業後の動向まで網羅している。例えば……


ハンガリー「そういえば二年生の時に転校していった佐倉くん、戻って来たみたいよ」

A「え、そうなの？」

ハンガリー「ええ。大学生になって、彼女と同棲してるらしいわ。なんでもその彼女っていうのが、うちのクラスの＿＿＿」


＿＿＿＿懐かしいな、佐倉くん。
イギリスに告白する勇気をくれたのは、佐倉くんだったな……


……と、こんな感じで懐かしい人たちの話を聞けるのはありがたいし、とても嬉しい。

こういう話を聞いたり、世界会議があるたびに、みんなが一緒にいた高校生活が懐かしくなる。
けれど……時間は巻き戻せないのだから、今を精一杯生きるしかない。


「今日もばりばり働くぞ〜！」



＿＿＿＿そうして充実した日々はあっという間に過ぎてゆき、五年の月日が流れた。

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