私立ヘタリア学園〜イギリスとの恋物語〜last part

２５５話　卒業式 ページ33

三月初めの、よく晴れた日。
厳かな雰囲気の中で卒業式が執り行われた。

式の最中、私はこれまでのこと、それからこの二年間のことを思い出していた。


＿＿＿＿シトラルという新しい国として生まれた私は、隣国の日本のお世話になりっぱなしで、他に友達なんて一人もいなかった。
だから学園に入学が決まった時、楽しみだったけどそれよりも上手くやれるかすごく不安だった。

でも、そんな不安はイギリスと再会してすぐに吹き飛んでしまった。


『日本から話は聞いてる。俺の名前はイギリスだ。よろしくな、A！！』


その時は自覚がなかったけれど……その笑顔にもう一度恋に落ちた。
いつしか私は、学園に転入するその日を心待ちにするようになっていた。


彼の家に遊びに行った時、イタリアやドイツたちという友達ができた。
フランスにナンパされたり、アメリカが飛行機でイギリス宅に突っ込んできたりしたのも、今となってはいい思い出だ。

そうそう、トニーともその時に仲良くなったっけ。


学園に来てからは、さらにロシアや中国、ハンガリーにリヒテン……他にもたくさん仲良くしてくれる人が増えた。

国ではない普通の人たち＿＿＿いろんな国籍の人々と出会えて、個人的にも国際的にも得るものが多かった。


いろんなことが新鮮で、嬉しかった。


片想いを自覚してからは涙することも多かったけど……それでも友達がそばにいたし、イギリスも笑ってくれていたから、毎日楽しかった。

イギリスはモテるし、気の休まらないこともたくさんあったけど……両想いになってからは毎日が本当に輝いていた。

体育祭、コスプレ大会、海、花火大会、文化祭……
二人きりのデートも、放課後に生徒会室でみんなで駄弁るのも好きだった。

担任であり生徒会の顧問でもあったプロイセンが、いい加減に見せながら実は私たちのことをすごく気にしてくれているのが嬉しかった。

たまに開催された女子会も、もうできなくなるのかと思うと寂しい。


もっともっとみんなといたい。
まだまだ終わりにしたくない。


＿＿＿＿でも、私たちは今日卒業してしまう。


二年間という短い間だったけど、これが私の青春なんだと胸を張って言える日々だった。


……つつがなく式が終了しあとは退場するだけ、という時、涙がひとすじ頰を伝った。



さようなら、私立ヘタリア学園。
色鮮やかな素敵な日々をありがとう。



私、この学園に入学できて、本当によかった＿＿＿＿

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