私立ヘタリア学園〜イギリスとの恋物語〜last part

２２７話　幸せと憧れ ページ4

A「やばい、超たのしい……」


きらめくイルミネーション。

いい匂いを漂わせる屋台たち。

そして、すれ違う人々の笑顔。

＿＿＿25日夜、私たちはクリスマスマーケットに来ていた。


イギリス「満足したか？」
A「とっても！」

イギリス「それなら良かった。冷えてきたし、そろそろ帰るぞ」

そう言いながらイギリスは自分のマフラーを私に巻いてくれる。

A「ありがとう……うん、帰る」

さりげない優しさに胸がときめく。
こういうとこも好きだなあ……

イギリス「ほら」

帰ろう、と差し出されたイギリスの左手を取ろうとした時、周りにいた人たちがワッと湧いた。


A「え、な、何！？」


拍手をする人、口笛を吹く人＿＿＿＿
いろんな人が何かを祝福しているようだが、その理由が分からずに戸惑う。

A「何があったの？」

辺りを見回すと、人々の祝福はイルミネーションが輝く大きなツリーに向いているようだった。

イギリス「どうやらプロポーズが成功したらしいぞ」

周りの人の視線を追ってみると、ツリーの下には一組のカップルが。


A「わあ、クリスマスツリーの下で公開プロポーズかあ」


彼氏が彼女の左手を取り、薬指に指輪をそっとはめる。

彼女は瞳を潤ませながらそれを見つめていたが、すぐに笑顔になった。

その笑顔があまりにも綺麗で、思わず「素敵……」という言葉が口をついて出た。


A「……なんかいいね、ああいうの。二人とも幸せになってほしいな……」


そのカップルは周囲の人々からさらに大きな祝福を受け、照れながらも幸せそうに微笑み合っている。


イギリス「なれるさ。俺が言うんだから間違いない」

A「ふふ、祖国のお墨付きだね」



いいな。
私たちは国同士だけど、それでも憧れる。


いつの日か私たちも、あの二人みたいになれたら＿＿＿…



そんなことを考えながらちらりとイギリスのほうを見ると、視線がぶつかった。


A「……ねえイギリス、今何考えてた？」

イギリス「……べ、別に何も！？ほら、帰るぞ！あんまり遅いとマウリツォたちが心配する」

A「はーい。素直じゃないな〜」

イギリス「うるせえ！」


口は悪いけど繋いだ手は優しいし、恥ずかしさと照れているせいで耳が赤くなってるのバレてるよ？


……本当、素直じゃないんだから。


そんな反応されたら、イギリスも私と同じこと考えてたのかなって期待しちゃうじゃん。


＿＿＿＿そうだといいな。

２２８話　プレゼント(イギリスside)→←２２６話　新発見

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す