私立ヘタリア学園〜イギリスとの恋物語〜last part

２４３話　譲れない、譲りたくない ページ21

もう逃げない。
自信がないなんて言わない。

誰がなんと言おうと、私がイギリスの彼女なんだから。

イギリスが命がけで守ってくれた好きな人のことを、自分で信じなくてどうするの！


病室にいるのは私とイギリス、そしてカオルさんの三人のみ。
他の人たちが出て行ってしばらく静寂が続いたが、私はそれを破って、カオルさんに単刀直入に問うた。


A「＿＿＿＿どうして、キスなんかしたんですか？」


カオル「そんなの……イギリスさんが好きだからに決まってるじゃないですか」


カオルさんは私の目をまっすぐ見ながら答える。

もちろんそれは嘘じゃないだろう。
……でも、それだけじゃないはず。

冷静になって考えて出した、私の結論は＿＿＿＿


A「それだけなら、あのタイミングで……わざわざ私たちの前でしなくてもよかったでしょう？あれは私に見せるために＿＿＿＿私から別れを切り出すきっかけになるように、そう思ってしたんじゃないですか？」


その言葉にカオルさんがぴくっと頬を痙攣らせる。
そして、深く頭を下げてこう言った。


カオル「……その通りです。そこまで分かっているなら……Aさん、お願いします。イギリスさんと別れてください。私、彼のこと本気で好きなんです……」


A「……それに私が『はい』と言うと思いますか？イギリスを好きなのは私も同じです。別れません、絶対に」


カオルさんが顔を上げる。
……その目には涙が浮かんでいた。

震える声で言う。


カオル「……さっき、フランスさんに聞いたんです。Aさん、あなたが私の祖国なのですね」

A「＿＿＿＿はい」

カオル「じゃあ、それなら……っ」


涙が溢れ、大粒の雫がいくつも頬を伝い落ちる。
それを拭いもせず、彼女は叫んだ。


カオル「あなたは国なんだから……私みたいな普通の人間とは違うんだから……私が死んじゃった後からでも、ずっとずっと一緒に過ごせるんだから！この数十年くらい、私にくれたっていいじゃないですか……っ」


A「…………」


＿＿＿＿確かに私たちは普通の人間よりもずっと長生きだ。
しかしだからと言って、一年を一瞬に感じることなどない。

私たちだって同じ時間を生きている。



A「……あなたにとっての数十年は、私にとっても同じだけ長いものなの。だからごめんなさい、それはできないです。誰にもイギリスの隣は譲りたくないから＿＿＿＿彼のことは、諦めてください」

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