私立ヘタリア学園〜イギリスとの恋物語〜last part

２３８話　どうして ページ16

A「予定があるって言ってたけど……それって他の女の子と会う予定だったのかなあ」


吉田たちがイギリスを見かけたという場所へ向かっている途中のこと。
私がそう呟くと、日本とフランスが慌てながらフォローをしてくれた。


日本「落ち着いてくださいA！イギリスさんに限ってそんなことありませんよ。ほら、学園の用事ではないですか？」

フランス「そ、そうそう！今の生徒会役員から何か頼まれたとかさ！きっとそうだって〜」


A「でも、それなら言ってくれればいいのに……隠されるほうが不安になっちゃうよ、現にこうして知っちゃったわけだし」


私の脳裏で、カオルさんに宣戦布告した映画館での出来事がよみがえる。
あの時みたいに、今回も良かれと思って私に秘密にしているのかもしれない。

＿＿＿＿それならそれでいいから、今はとにかく安心したい。

そうして私たちは、本屋のあった階からエスカレーターを使って二つ上の階へとやって来た。
吉田たちが足を止め、辺りを見回す。


吉田「さっき見たのはこの辺りだったと思うけど……」
佐々木「さすがにずっとここにはいないだろ。手分けして探してみる？」


A「……ううん、大丈夫。三人とも連れて来てくれてありがとう」


橋本「……A、どこ見てる……あ」
日本「＿＿＿！」


反対側のエスカレーターから二人の人物が降りて来た。

そう、私は見つけてしまった。
イギリスは確かに女の子といた。

黒髪で、私と同じヘアピンを着けている女の子。

どうして聞いた時に思いつかなかったのだろう。
……いや、本当は最初に考えた。

だけど信じたくなくて、無意識のうちに除外していた一つの可能性。


A「どうして＿＿＿」



イギリスといた女の子は＿＿＿＿＿＿カオルさんだった。



A「…………」


イギリスを見つけることはできたけど、なんと言って声をかけていいか分からずにその場に立ち尽くす。

「いつか振り向かせてみせる」
カオルさんは映画館で確かにそう言っていた。

しかしそれからの話を私は知らない。

私の知らないところでずっとアピールしていた？
それにイギリスは心を動かされたの？

悪い方へ悪い方へ思考を巡らせてしまう。


＿＿＿＿本当に映画の結末みたいになったらどうしよう。


A「い、いやだっ……」
カオル「＿＿＿＿Aさん」


私の瞳から大粒の涙がこぼれたのと、カオルさんがこちらに気づいたタイミングは、ほとんど同じだったように思う。

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