私はさとみくんの 2 【さとみ】

莉犬くん2 ページ26

『うわっ！？』

ｶﾞｯｼｬｰｰｰｰｰｰｰｰｰﾝ

な｢大きな落としたけどだいじょ…｣

な｢って全然大丈夫じゃない〜！？！？｣

莉｢A大丈夫！？怪我は！？！？！？｣

さ｢おいおい、大丈夫？｣

棚の上にあった鍋をとろうとして

バランスを崩してしまった私。

尻もちをついている私に手が差し出される。

『なーくんありがと…』

なーくんに引っ張られて起き上がる。

鍋の底はベコベコになっていて

到底使えるものではない。

こ｢怪我なさそうでよかったわ｣

ジ｢ほんまやで、気つけてな｣

『うん、みんなごめんね』

申し訳なさそうにみんなを見上げると

莉犬くんがとても悲しそうな顔をしていた。

どうしてそんな顔してるの？

心配かけちゃった？

な｢Aちゃん心配やから俺手伝うよ｣

正直言ってすごくありがたい。

『お願いします…』








『イテッ！』

な｢さっきから手切りすぎだよ…｣

な｢絆創膏貼ってきた方がいいよ｣

『うんごめんね、なーくん』

キッチンを出て救急箱を探す。

『あれ…？救急箱どこいったんだろ』

そこにちょうど莉犬くんが通りかかった。

『莉犬くん！救急箱しらない？』

莉｢えっ？？？｣

『救急箱しらない？』

莉｢あっ救急箱ね…ここにあったよ｣

そう言って救急箱を出してくれた。

そして莉犬くんはその場で救急箱を開いた。

｢俺が貼るよ、手貸して｣

『あ…りがとう』

私の指に丁寧に絆創膏を貼る莉犬くんは

いつもの子供のようなあどけなさは

残っておらず、真剣な眼差しに

私の胸はドクドクと音を立ている。

莉｢A…？｣

『…え！？』

莉｢貼り終わったよ｣

『あっありがとう！！』

お礼を言って立ち上がろうとすると

腕を引っ張られ、バランスを崩した私は

莉犬くんの胸にぽすっとおさまった。

そして強く強く抱きしめられた。

『莉犬くん…？』

莉｢なんでこんな傷だらけになって…｣

莉｢料理ならなーくんに任せておけばいいよ｣

莉｢ねっ、部屋で2人でゆっくりしようよ｣

見上げた先に見えた莉犬くんの顔は

いつもみたいな、

いや、

いつもより何倍も子どものようだった。

大きな瞳から零れている涙を

何度も何度も、すくい上げた。

『泣かないで…』

莉｢だって…だって…｣

莉｢Aは無理しなくていいんだよ…｣

『無理してないよ笑』

莉｢してるよ！こんなに指に傷つくって！｣

今にでも、部屋に連れ去られそうな勢い。

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