完結 ページ49
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万年人手不足の呪術界だが、あちこち飛び回ることもあるけれど比較的落ち着いて小康状態となった今。
五条は、たびたび色濃く残る昔日を思い出してはその都度都内にある墓地に行くのが日課であった。花を手に、いつ来ても綺麗な墓石の前に立つ。
「今日も来たよ。A」
空を移しだす清澄の瞳が、しなやかな弧を描いた。
ふと、馴染みのある気配を感じ振り向けば、同じく供花を手にした老婦がいた。大人になった今でも変わらない呼び名で呼ぶ彼女は、ゆったりとした足並みで、微笑みながら近づいてくる。
「あら、悟坊ちゃん。お久しゅうございますね」
「うん、久しぶり。来たばっかであれだけど、帰りはどうすんの？嫌じゃなかったら一緒に乗ってかない？」
「では、お言葉に甘えさせてもらいますね。」
「あとさ、今度来るとき一声かけてよ。送迎付きだからタクシー代も浮くしさ」
「ふふ、ありがとうございます
それよりも半年ぶりですね悟坊ちゃん。お元気そうでなによりです。」
朗らかな雰囲気をまとう彼女には、言葉に表せられないくらいお世話になったものだ。五条は、多大な感謝と、この言葉を伝えに来たのである。
「あの時、死に急ぐ僕を止めてくれて本当にありがとう。
ようやく、前を向けるようになったんだ。」
彼女の瞳に涙の膜が張る。頰を伝って地に落ちるのはそう時間はかからなかった｡
先にタクシーへ向かって墓地を後にした彼女の姿が見えなくなってから、五条は、愛おしそうに彼女が眠る墓石を撫でる｡
いまもAを想う愛は少しも冷めない｡
思い出しては、咲き誇ったあの時を懐かしむのだ。
隣で支えてくれていると思いながら、この先の長い道を歩み、いつか、振り返って幸福に満ちた人生だったと黄泉でまつAに胸を張って言えるように。
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これにて完結致しました｡
ご愛読ありがとうございました。
終わり
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タバスコ子(プロフ) - ホノハさん» 返信が遅くなって申し訳ありません。コメントありがとうございます( ᵒ̴̶̷̤-ᵒ̴̶̷̤ )更新遅めですが待っていてくださると嬉しいです( ･ ･̥ ) (7月9日 12時) (
レス) id: 0cdd62a25e (このIDを非表示/違反報告)
ホノハ - 続き楽しみです(๑•̀ㅂ•́)و✧ (2023年5月3日 15時) (レス) @page29 id: 87f020705d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：タバスコ子 | 作成日時：2022年10月31日 5時
