【ヒロアカ】異世界であなたのヒーロー始めました【オールマイト】 (ページ23)

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体は勝手に2 ページ23

集まっていた民衆の間をすり抜け
足は駆けていく
ひどく怯えた少年の元へ
爆豪の方へ

「「「「！？」」」」

「馬鹿ヤローーー！！！止まれ！！止まれ！！」

一瞬呆気に取られていたヒーローたちは、その少年を止めることは出来なかった

｢あのガキ｣

｢(デク！！？)｣

何で出た
何してんだ！？何で！！

｢緑谷くん！｣

｢爆死だ｣

目前に迫った敵から発せられた明確な殺意に緑谷は怯むが、それでも足は止まらない

｢ひっ……｣

(どうしようどうしよう
こういう時は～～～～！！)

焦りながらも考えることをやめなかった緑谷は咄嗟に自分の夢の詰まったノートを思い出す

(25P！！)

"シンリンカムイ
・先制必縛ウルシ鎖牢
相手の面前に素早くウデ(ツル)を伸ばしひるませその隙に拘束…………"

背負っていたカバンを敵の顔面へと投げつける

｢しぇい！！｣

｢ぬ"っ｣

緑谷が投げたカバンは、敵の顔面へと命中し、その隙に捕まっている爆豪に近づく

｢かっちゃん！！｣

｢ｶﾞﾊｯ…何で！！てめェが！！｣

｢足が勝手に！！何でって…わかんないけど！！｣

色々理屈はあったと思う

ただその時は

｢君が救けを求める顔してた｣

歪な笑顔をむける緑谷

その言葉はその場にいた全員に届いてはいなくとも
先ほど少年を諭したヒーローと目の前の友人には確実に届いていた

｢…ふふ｣

近くからバシャバシャと、水が散る音と共に、笑い声が聞こえた
その方向を見るとバケツを器用に振り回して敵の体を掬いとっていたAさんがいた

｢やっぱり緑谷くんはすごいなぁ！｣

にかり、と彼女は笑っていた

｢ってあれ！？Aさん！！！？｣

｢やぁ緑谷くん！援護に来たよ！｣

｢もう少しなんだから邪魔するなあ！！！｣

無謀にも駆け出していた緑谷たちの元にヒーローが走り出す
だが、そのヒーローたちよりも先に
捕まった少年達の手を掴む者がいた

｢君を諭しておいて…己が実践しないなんて！！！

プロはいつだって命懸け！！！！！！｣

DETROIT SMASH！！！

オールマイトが放った一撃は
周囲の建物を吹き飛ばす勢いだった

｢……雨？｣

｢まさか今の風圧で…！？上昇気流が…｣

｢すげえええこれが…オールマイト！！！｣

そのヒーローへと注がれる歓声は、当の本人であるヒーローには届いていない
そして、そのヒーローの視線を受ける気絶した少年は、その感情の渦に気づくことはなかったのである