ヒロイン願望

2 ページ17

俺は、昔から、変わっている、と言われてきた。


その所以は、きっと、俺の両親にある。




俺の父親は、キザなところがある。


例えば、ついこの間迎えた、俺の20歳の誕生日には、高級腕時計のプレゼントとともに、親父オリジナルカクテル、twenty kenty shining starをご馳走してくれた。


本当に親父らしいネーミングセンスだと思う。


さすが、中島健人の親、と、俺のことを知っている人なら口を揃えて言うだろう。




母親には、小さいころから、ジェントルマンであれ、と教え込まれた。


「めんどくせー」


みたいな言葉は禁句。


女の人が車に乗るときは先にドアを開けてあげる、座るときはイスをひいてあげるのは当たり前。


やるのを忘れた日には、


「全然レディファーストじゃない！」


と叱られた。


俺は、一番怖い母親だと思っている。




そんな二人は、人として生きていくうえで必要なものをすべて教えてくれる最強の両親だ。


でも、それが普通ではないと知るには十分すぎるほど、周りとのギャップは生まれていた。


例えば、保育園で、


「お前、そんな女の遊びなんか付き合ってないで、サッカーしようぜ！」


って言われて、


「女の子には優しくしないといけないってパパが言ってた。」


と断ったときは、


「女々しいやつだ、きもちわりー。」


とからかわれた。


給食を食べるときに女の子の椅子を引いてあげたら、喜んでくれる子もいたけど、ビックリして、今思えば、軽く引いてる子もいた。


小学校低学年くらいまでは、


「健人くん、王子様みたいでかっこいい！」


という子はいたけど少数派で、


「あいつ、変なやつ。」


「きもちわりー。」


と揶揄してくる子の方が多かった。


悪意なく、いじめに近いような扱いもうけた。




でも、高学年になるにつれて、王子様キャラが定着して、


「さすが中島。」


「本物の王子様みたい……！」


なんて、言われるようになった。


からかわれたり、いじられたりこそすれ、いじめられることはなくなった。

3→←1彼side

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す