出逢いがしら、愛しきみ【ヒロアカ】 (ページ1)

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. 爆豪side

それは刹那

一瞬の出来事だった。

「ってぇ... な.... 」

午後の授業も終わって帰ろうと鞄を担ぎ階段への角を曲がった。
すると首下辺りに感じるどんっという衝撃。

『っ、ごめんなさいっ！』

下方から聞こえたその音はゼロコンマ数秒で俺の全身に響く。
なんとも言えない不思議な感覚に襲われた。
小さな鈴の音のような綺麗な声。
耳から入り込んだそれはすっと頭を透き通り一瞬支配されるような感覚に陥る。

『..ぇっと、、大丈夫ですか..？』

そのときの俺は多分変な顔をしていたんだろう。
そっと上げられた目と合い思考が停止しそうになる。

「...おう、」

ぽつりとでもいうか. 小さく出たそれは今俺が出せる最大限だった。

『ほんとごめんなさい！』

『、えっと、じゃあちょっと急いでるので、失礼します！』

ぺこりともう一度頭を下げ横を通過していくのを
俺は立ち尽くして見ることしか出来なかった。

途端余韻のように残る柔らかいころんとした香り。

初めての感覚に襲われながら自分の左胸がいつもより少し騷しいことに気が付いた。

＿＿＿＿＿＿出逢いがしら、愛しきみ