今はまだ ページ16
.
『荼毘ぃ〜〜』
「何やってんだお前」
ホークスを撒いた後
無事荼毘と合流するなりその身体に抱きついた。
少し、ほんのり焦げたような匂いに包まれ落ち着く。
『久しぶり、元気してた？』
「普通」
『うん、元気そう』
相変わらず愛想のない声だけど
ちゃっかり腕は腰に回してるし
なんだかんだで私のこと可愛がってくれてるの知ってる。
パッと見上げると蒼い瞳と目が合って、
最大級の妹スマイルで笑いかけると
「どけ」って暑そうに引き剥がされた。
取り敢えずの近況報告。
『…とまぁ、ここ最近はホークスのせいで前みたいに
自由に動けなくなってきてる』
「へぇ。捕まるなら迷惑かけんなよ」
『ひど！そこは助けに来てよ？！』
「んな暇じゃねぇ」
廃工場の中、2人で肩を並べながら土産物を食べる。
荼毘の言葉に『もー！』とぷんすか怒れば、
夜の静かなこの空間には声がよく響いた。
「うるせぇ」
『妹分が居なくなったら寂しいでしょ！』
「何が妹分だばァか」
『うわーお兄ちゃんてば薄情者』
ふんっと口先を尖らせてやると、荼毘は面倒臭そうに
わしゃわしゃと乱暴に頭を撫でてきた。
「気分が乗ったら助けてやる」
『……あの時は気分乗ってくれてた？』
私が敵になった日
頭を撫でていた荼毘の手を取って、
あの日を思い出しながらぎゅっと握る。
「偶々、なんとなく拾った」
『へへ、拾ってくれてありがと』
あの時荼毘に拾われてなかったら
私はずっとひとりで、もしかしたらもう死んでたかも
"いくら敵でもさすがにひとりは寂しいんだ？"
ふと、ホークスの言葉が脳をよぎった。
『………』
そうだよ、ひとりは寂しい
いくら敵でも、私たちだって人間で
人の温もりは求めてしまう
何も言わないまま俯いていると
荼毘の手がもう一度伸びてきて、私の肩を抱き寄せ
こつんと、荼毘の肩へ体重を預けさせられた。
『……なにー？えらく優しい』
「眠いなら寝とけ」
『眠くないよーだ』
別に私が眠くないのなんて荼毘は知ってる。
私の考え事なんて
悩み事なんて、聞く気はないけど励ましてくれる。
無愛想な優しさに甘えるように、荼毘にもたれ掛かった。
『私ホークス嫌い』
「好きだったら引くわ」
『やっぱ荼毘しか勝たーん』
「きも」
『またまたぁ』
静かに、愉快に笑ってただ夜を過ごす
今の私には、この人でしか心の隙間を埋めれない
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 652人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「ヒロアカ」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
sana＊(プロフ) - 沼さん» 長い間お待たせしてすみませんなんとか早めに更新できるよう頑張ります！！🥺🥺 (10月25日 12時) (
レス) id: 25a11890bc (このIDを非表示/違反報告)
sana＊(プロフ) - 姫さん» ほんっっとうにすみませんなんとか時間作って続き更新しますね😭😭🙏 (10月25日 12時) (レス) @page23 id: 25a11890bc (このIDを非表示/違反報告)
沼 - 続きが気になります……！！ (10月4日 4時) (レス) @page23 id: 6b30814409 (このIDを非表示/違反報告)
姫(プロフ) - えぇー！どうなっちゃうの？最近更新ないけど大丈夫ですか？無理せず頑張ってください！！ (9月17日 14時) (レス) @page23 id: 803f158600 (このIDを非表示/違反報告)
sana＊(プロフ) - これはお咲さんさん» うわぁあああありがとうございます！😭💖更新頑張ります！😭💪 (2022年11月21日 10時) (レス) id: 35c21c90ed (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：sana＊
| 作成日時：2022年6月14日 18時
