【ヒロアカ】ホークス、ヒーロー辞めるってよ【ホークス】

No.2は敵に恋をする ページ2

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(ホークスside)




明かりのついた窓はなく

静けさに包まれた深夜の街

それらを僅かに照らす月を見上げれば

ゆらりと銀色の糸が光る。




『なんでいんの』




無愛想な声と共に降りてきた銀髪の彼女。

それでも俺の傍ではなく、ちゃんと向かいのビルに




「オニグモに会いに来てあげたの」

『いらん、さっさと死ね』




シッシッと払い除けるように手を振られる。

ふわりと羽を浮かせ距離を詰めると

仮面の下から覗く宝石箱のようなアメジストの瞳が

月の光をくるりと反射させた。




「さっさと捕まってくれればいいのに」




警戒の色が残る綺麗な目

仮面に手をかけ外してやると

やっぱりぶっきらぼうな顔が覗くだけ




『ばーか、誰がお前なんかに捕まるか』

「もういい加減鬼ごっこも疲れたんですケド。

　俺も暇じゃないんだよねぇ」

『じゃあまた無能共に代われば？』

「それはヤダ」




オニグモを捕まえるのは俺なの


ただ、今はもう少し待って


手を伸ばし、頬から耳に添えると

ぴくりと小さな肩が震える。




「A」

『呼ぶなキモい』

「へぇ〜さっきより顔赤くなってるのは気のせいかなぁ？」

『ッ、気のせい！！』




ブンっと懐から取り出したナイフを振り回され

間一髪で避けるも俺の頬からは赤がつぅと流れる感覚

この子に会えば無傷で済むことの方が少ない


まぁそれは置いといて

ころりと手のひらで転がる宝石を確認する。




「ハイ没収〜」

『んなっ！おい返せ！』

「流石40万だねぇすっごい綺麗」




今さっきAの片耳から取り外したピアス。

これは今日彼女が襲った銀行強盗犯から巻き上げた金で

購入した高級ブランドアクセサリーだ。




「似合ってるけどダメ。もう片方とお金も返して」

『いいじゃんあの強盗犯コテンパンにしてあげたんだから』

「いやそのまま金持って逃走してんだから同罪よ？

　もうあんま罪重ねんでよ後々めんどい」




さてと、そろそろ任務の遂行


羽を広げ剛翼を飛ばすと、それに気づいたAは

咄嗟に仮面を取り付け手から糸を伸ばした。

瞬く間にAの足は地面から離れ空中へと逃げていく。

同じように俺はAを追った。




『もういい加減追っかけてくんな！』

「こっちも仕事だから」




そう、敵を捕まえるのはヒーローの仕事。



そんな敵である彼女に恋をして

月に映える蜘蛛の糸に手を伸ばす俺は

まるであの小説と同じ、罪人なのかもしれない



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