No.107 ページ7
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出来上がった料理を運ぶのを手伝うと、四人がけのテーブルが、家庭らしい空間になった。
｢いただきます｣
｢召し上がれ｣
手を合わせて箸を持つ。久しぶりすぎて持てるか不安だったが、人間の習性というのは神秘的で、自然と持つ事ができたて安心した。
｢そういえば知ってる？｣
｢何をだ｣
｢手料理振る舞われた時に、一番最初にご飯にふりかけかけて食べる様な男って嫌われるらしいよ｣
｢それは知らなかったな。どうして嫌われるんだ？｣
｢分かんない。たまた民放のニュース垂れ流してたらドラマが始まっててそれをちらっと見ただけだから｣
そう言いつつナスとピーマンと恐らく豚肉の炒め物に手を伸ばすと、相澤が少し上擦った声をあげた。
｢俺はそういうのは気にしない質だ。ふりかけはないが、ご飯から食べてもいいんじゃないか｣
｢？何でそんなに慌てて･･････ああいや、別に相澤サンの事当てはめて言ったわけじゃないよ。そういえばと思って言っただけ。家で誰かと一緒にご飯食べるの初めてだからこういう豆知識みたいなのも話した事ないなあって思い出しただけだからさ｣
そう言うと、相澤は上手いと思って口に入れた物があまり美味しくなかった時のような顔をした。
私はまた何か変な事を言ってしまったらしい。
｢私はまた変な事を言ったみたいだな｣
｢言ってないよ。でも、少しずつ当たり前にしていこう｣
｢何を？｣
｢色んな事をだ。まずは誰かと一緒にご飯を食べる事だな｣
｢それって大事？｣
｢とても｣
｢ふうん｣
ピーマンを箸で取って口に入れた瞬間、目を見開いた。
｢･･････まずかったか？｣
｢いや、美味すぎてびっくりしてる｣
｢それは良かった｣
何の技巧もない素朴な味だ。なのに、初めて自分で稼いだ金で買ったコンビニのおにぎりの時の様な衝撃に包まれた。温かい料理が勿体なくて、ゆっくりゆっくり噛んで食べる。
限界は早かった。Aは普段、昼しか食べない。茶碗も炒め物の入った深皿も、殆ど残したまま、食べれなくなってしまった。
｢無理して食べなくていいんだぞ。タッパーに入れて明日食べればいいからな｣
｢･･････明日も食べれるの？｣
｢ああ｣
相澤は黙々と食べ進めていた手を止めて、Aを見つめた。
｢今日はいい。だが、少しずつでいいから、もう少し食べられるようにしような｣
｢･･････うん｣
当たり前を増やすということ。
Aは自然と、頷いていた。
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エリンギ(サブ垢)(プロフ) - rayさん» コメントありがとうございます。返信が遅れてしまい申し訳ないです。生きがいと言って頂けて光栄です！ (2022年10月8日 22時) (
レス) id: d64584d3be (このIDを非表示/違反報告)
エリンギ(サブ垢)(プロフ) - あんころさん» コメントありがとうございます。最近ハマっている海外ドラマの影響で夢主の口調が若干アメリカナイズされてきていますが、どうかご容赦を(汗) (2022年10月8日 22時) (レス) @page29 id: d64584d3be (このIDを非表示/違反報告)
あんころ(プロフ) - めちゃくちゃ面白くて一気見しました！夢主ちゃんの口調とか生き方とか、先生達との関係とか、すっごい好きです！！更新応援してます😍 (2022年10月5日 2時) (レス) @page28 id: 9e178210e2 (このIDを非表示/違反報告)
ray(プロフ) - 生きがいが更新されていて嬉しい (2022年9月17日 18時) (レス) id: 79de0296fb (このIDを非表示/違反報告)
鈴木 - 初心者生さん» コメントありがとうございます。楽しみにしていただいてとても光栄です。これからもどうぞよろしくお願いします！ (2022年6月25日 20時) (レス) id: a6f881356f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：エリンギ(サブ垢) | 作成日時：2022年6月22日 22時
