No.146 ページ46
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五時間目。最早体の一部となっている黄色い寝袋を首元に手繰り寄せながら相澤が言った。
｢文化祭があります｣
｢｢｢｢｢｢｢ガッポォォォイ！！！！！｣｣｣｣｣｣｣
突然の叫び声にビクッと肩を驚かせると、右隣の轟が｢“学校ぽい”って意味らしいぞ｣と謎の補足を入れてくれた。
ヒーロー活動に明け暮れているせいで学校行事に飢えているんだな、と自身も全く楽しくない小中学生活を送っていたはずのAは哀れんだ。
ちんぷんかんぷんな授業中もAに分かるくらい優しく解説してくれた(分かった気にはなれた)左隣の学級委員長は、背の高い眼鏡の少年と共に教壇に立ち、何やら黒板に書き連ねている。
“文化祭の出し物”と書かれた流麗な文字に、そういえば学校行事に参加するのは初めてだなと思った。
｢なあ、A｣
隣からな名前を呼ばれた。
左の隣人は個性豊かなクラスメイト達を纏めている最中だから、誰かは明白だ。
｢何、轟｣
轟は既に教室の隅で芋虫となっている相澤を余所に燥ぐクラスメイト達とは打って変わって、落ち着いた面持ちだった。
Aは轟がよく分からない。
基本的なプロフィールは知っている。No.2ヒーロー・エンデヴァーの息子で、多分今日個性持ち。整った顔立ちに鍛え上げられた上背のある体。輝く未来を約束されたヒーロー候補生だ。
それなのに、半々の髪と目の色や、顔の半分を覆うケロイド、何よりふとした時に見せる仄暗い影。分かりやすく轟は辛い過去を持っている。そして完全には振り切れていない。最も、完全に振り切れる人間の方が少ないのだが。
凄惨な過去に挫け、堕ちていった人間なら嫌という程見てきた。
でも、それらを乗り越え、前を向こうとしている人間は知らない。
恵まれたスペックに確約された未来、不幸な半生。Aはそんなちぐはぐさを併せ持つ轟を、測りあぐねていた。
轟は切り出しを迷っている様だった。何度も視線を上げ下げし、ようやっと決意したという風に重い口を開いた。
｢両親の事、今でも憎んでるか｣
予想外の質問に、Aは一瞬息も忘れて轟の横顔をまじまじと見つめた。
そして静かに、お父さんに聞いたの？と問うた。
｢ああ。Aが転校してくる二日前に。普段はクソ親父のメールなんか無視してるんだが、気になる内容だったから聞いた。詳しい事は機密扱いで聞けなかったが、Aがヴィランになった軽い経緯くらいなら知ってる｣
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エリンギ(サブ垢)(プロフ) - rayさん» コメントありがとうございます。返信が遅れてしまい申し訳ないです。生きがいと言って頂けて光栄です！ (2022年10月8日 22時) (
レス) id: d64584d3be (このIDを非表示/違反報告)
エリンギ(サブ垢)(プロフ) - あんころさん» コメントありがとうございます。最近ハマっている海外ドラマの影響で夢主の口調が若干アメリカナイズされてきていますが、どうかご容赦を(汗) (2022年10月8日 22時) (レス) @page29 id: d64584d3be (このIDを非表示/違反報告)
あんころ(プロフ) - めちゃくちゃ面白くて一気見しました！夢主ちゃんの口調とか生き方とか、先生達との関係とか、すっごい好きです！！更新応援してます😍 (2022年10月5日 2時) (レス) @page28 id: 9e178210e2 (このIDを非表示/違反報告)
ray(プロフ) - 生きがいが更新されていて嬉しい (2022年9月17日 18時) (レス) id: 79de0296fb (このIDを非表示/違反報告)
鈴木 - 初心者生さん» コメントありがとうございます。楽しみにしていただいてとても光栄です。これからもどうぞよろしくお願いします！ (2022年6月25日 20時) (レス) id: a6f881356f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：エリンギ(サブ垢) | 作成日時：2022年6月22日 22時
