秀才の妹76 ページ32
「…凄いなぁ、出久くんは。
私より上だ。」
そんな独り言を漏らしたけど、答えた人はいなかった。
答えなんて求めてないけど。
こんなの、自己満でしかないんだから。
気付けば、出久くんは心操を場外へ出し、勝利していた。
「心操くん場外!!
緑谷くん、2回戦進出!!」
ミッドナイト先生の声がステージに大きく響いた。
その瞬間、周りが大きな歓声で包まれたのは、言うまでもないだろう。
「IYAHA！緒戦にしちゃ地味な戦いだったが!!
とりあえず両者の健闘を称えて、クラップユアハンズ!!」
--ﾊﾟﾁﾊﾟﾁﾊﾟﾁ
いろいろ思ったことはあったけど、それでも幼馴染で、大事な人だ。
1回戦というプレッシャーのかかる試合で勝てたことに、拍手を送るのは間違っていないはずだ。
でも、あんなこと考えていた私にもらう拍手は嬉しいものなんだろうか。
まあでも……わからないなら、意味もなく称えてあげるのも正しいだろう。
それが心からのものじゃなくたって。
そして次の試合が始まった。
出久くんは、私の隣に来た。
お茶子ちゃんや飯田くんがお疲れ様と声をかけている、ので、私もかけるか…と一言。
「凄いね、出久くん。」
「へ!?あっ、う、うん…。ありがとう…!!」
「な、なんで毎回私に話しかけられる度に、そんな挙動不審になるの…？
そんな嫌かな…。まあいいけど。」
「ち、ちちちち違うよ!?ただ今は、さっきのチアリーダーの格好とかがその〜…へ、変な意味じゃないけどチラつくというか…。
で、デリカシー無いよね!?ごめんねAちゃん…!」
まさかそんなことで挙動不審になってるとは。
一刻も早く忘れて欲しいものだ。
それと…今はってことは、いつもの理由は違うのかな、なんて。
「も、もう忘れて…一生あんなの着ないから…。」
「う、うん…ごめんね…!!」
はぁ、と溜息をつき、ステージに目を向ける。
実況をすっかり聞き流していた。
戦っているのは…瀬呂くんと轟くん…。
轟くんの個性はたしか…氷結と炎…だったかな。
どう対抗するのか…。
あ、瀬呂くん勝てそう、そう思った途端、目の前に大きな氷が現れた。
…これ、個性なの？
正直…こんなの出されたら勝てる気がしない。
私の熱なら溶かせるかもしれないけど、まだ腕と足しか使えない。
広範囲で体を固められたら溶かすにも時間がかかる。
当たりたくないな。
そして自然と沸き起こった、
瀬呂くんへ向けたどんまいコール。
…私がされたら屈辱的だろうな。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 265人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「ヒロアカ」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
どこかのラブライバー♀(プロフ) - 時雨さん» コメントありがとうございます。ありがとうございます、励みになります！更新遅くて申し訳ないです…!!頑張りますので、暖かい目で見守っていてください…！ (2018年5月24日 21時) (
レス) id: a5c38f8b66 (このIDを非表示/違反報告)
時雨(プロフ) - この作品いつと楽しく拝見させてもらってます！更新楽しみにして待ってますね！ (2018年5月23日 19時) (レス) id: 357ba3e4c2 (このIDを非表示/違反報告)
どこかのラブライバー♀(プロフ) - 8800さん» コメントありがとうございます。早く読みたいと言って下さり、凄く嬉しいです！更新頑張ります！ (2018年5月11日 22時) (レス) id: a5c38f8b66 (このIDを非表示/違反報告)
8800 - 更新頑張ってー！早く続き読みたいですー！ (2018年5月10日 20時) (レス) id: 2da2df1e9e (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：どこかのラブライバー♀ | 作成日時：2018年5月7日 0時
