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拗ねたような子供っぽい声と表情に笑いが漏れそうになる。
科学実験室ってことは科学部だろうな。そこを追い出されるって、何やらかしたんだこいつは。
「はぁ……。まぁいい。
追い出されたはいいものの、教師に言っても取り合ってくれなかったのでな。この体育館なら特定の生徒以外は寄ってこないから、教室を使うより良いと思っただけだ」
「追い出されたって……。
俺らは構わないけど、何したらそんなことに？」
言葉を選びながらもはっきり聞いてくれたスガさん。俺にとってはありがたいが、果たしてこいつが答えてくれるのかは分からない。
「何もしてないよ。……ただ、"お前にはついていけない"ってさ。いつか言われるとは思っていたし覚悟もしてたけど、ここまで早いとは思ってなかった」
同情…というか、だろうなという気持ちが湧いてくる。さっき俺がチラッと見たルーズリーフでさえ、全く理解できない数字が一面に書かれていた。
あんな光景をずっと見ていたら、気味悪がるのも無理はない。
でも、諦めたような悟ったような、そんな暗い目をするそいつに「似合わねぇ」と思ってしまった俺も居て。
「言い返せよ」
気付いた時には、声が出ていた。
「言い返せよ。入学式であんだけ言っておいて、なんで何も文句言わねぇんだ」
スガさんの静止する声を振り切ると、目の前のこいつが目を細めて睨むようにこっちを見ていた。
「言ったところで無駄なんだよ。私が何か言ったところで大勢の意見が覆るわけじゃない、周りの認識が変わるわけでもない！期待したところで、意味なんて無いんだ！」
「じゃあそいつらの言うことなんて聞かなきゃいいだろ！私は特別なんですって踏ん反りかえってろ！
思ってることがあんのに言わねぇのは、ただ逃げてるだけじゃねぇか！」
段々ヒートアップしてきた喧嘩を見かねたのか、俺とあいつの間にスガさんが滑り込んだ。
「ストップ！！やめろよお前ら。流石に言い過ぎ」
今にも殴りかかってきそうな冷泉を両手で掴んで止めながらスガさんが声を張り上げる。
目を吊り上げてこっちを睨みつけてくる冷泉は本気で怒っていた。俺がこいつの地雷を思いっきり踏み抜いたんだということは頭に血が上っていても分かる。
あ、やべぇと罪悪感が湧いてきた時にはもう遅く、俯いて黙り込んだ冷泉は俺の横をすり抜けて体育館の外まで走っていった。
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森谷きのこ(プロフ) - ひよりさん» コメントありがとうございます。気を付けているところやこだわっているところを褒めていただき、嬉しい限りです。細々とではありますが続けていくので、これからもよろしくお願いします。 (4月4日 22時) (
レス) id: 8dba170153 (このIDを非表示/違反報告)
ひより(プロフ) - 文章の構成、 情景や感情の表現、言葉選び諸々凄い丁寧で素敵でこの作品に惹かれました！楽しく読ませてもらってます！ (3月31日 1時) (レス) @page19 id: 67c39a707a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：森谷きのこ | 作成日時：2024年2月26日 10時
