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早朝5時。アラームを止め、ゆっくりと上体を起こす。
寝ぼけ眼のまま部活で使うジャージとTシャツを鞄の中に入れ、昨日書いたノートを鞄の隙間にしまう。
軽くシャワーを浴びて制服に身を包む。
若干温度の低いぬるま湯が、眠気でおぼつかなかった足取りを元に戻してくれた。
朝食の食パンを口に詰めると、甘いジャムの味がした。瓶のラベルを見れば、柑橘類で作られたマーマレイド。嫌いではない。
白衣の上に紺色のダッフルコートを着て鞄を背負い、玄関の扉を開ける。
「いってきます」
と呟いて外に出ると、ひんやりとした春の冷気がまとわりつく。
東北の冬は寒く、そして長い。もっと南にある県からすれば、こちらの4月は向こうの2月のようなものだろうな……。
手に持っていたマフラーを巻きながら、そんなことを考える。
白くなる雪を横目に道路の端を歩いていくと、そう時間も経たないうちに学校へ着いた。
今の時刻は午前6時を過ぎたところ。……早すぎたか。
一応、扉を引っ張ってみるがもちろん開かない。窓には格子がついているし、恐らく鍵もかかっているだろう。
好機とばかりに本を開き、昨日書いたページを捲る。せっかくだから技術関連の項目を実践してみよう、そう思った。
レシーブはボールが無いから難しい。ブロックやセットアップも同様にイメージトレーニングでは厳しい。……残ったのは、スパイクか。
ボールが無くてもステップやジャンプならこの場で出来る。必要な物がなく使えるのは体だけ、なんて今の状況にはぴったりなのではないだろうか。
軽くストレッチをし、身体を温めてからノートに書かれたとおりに足を踏み出して飛ぶ。
いち、に、さん……。数を数えてタイミングを合わせながら両足で地面を蹴った。
もちろん上手くいくはずもなく、少し飛び上がっただけだった。しかも、普段より高く飛べた気もしない。
2度目はゆっくり。どうすべきかを思い出して、一歩ずつ、丁寧に。
勢いが無いせいで高く飛べはしなかったが、足の動きはなんとなく分かったような気がする。
3度目は足だけで。もつれない程度に足を動かして、全力で踏み切る。
上半身を使っていた時より高度が低い。何故だ？
思いついたこと、やっていて感じた疑問、それらを事細かにノートに書き込み、自問自答を繰り返す。
書いては実践し、悩んでは考えを繰り返しているうちに、じわじわと脳裏に浮かぶイメージに近付くのを感じた。
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森谷きのこ(プロフ) - ひよりさん» コメントありがとうございます。気を付けているところやこだわっているところを褒めていただき、嬉しい限りです。細々とではありますが続けていくので、これからもよろしくお願いします。 (4月4日 22時) (
レス) id: 8dba170153 (このIDを非表示/違反報告)
ひより(プロフ) - 文章の構成、 情景や感情の表現、言葉選び諸々凄い丁寧で素敵でこの作品に惹かれました！楽しく読ませてもらってます！ (3月31日 1時) (レス) @page19 id: 67c39a707a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：森谷きのこ | 作成日時：2024年2月26日 10時
