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何かに当たった衝撃はあるのに全く痛みを感じない。
恐る恐る目を開けると、澤村さんの腕に支えられている自分がそこには居る。
驚きと混乱でパニックになりかけたが、床に散らばった本が視界に入る。
あぁそうだ、私が転ぶのを察して投げ捨てたんだった。
「大丈夫か？」
「助けてくれてありがとう。怪我は無いよ」
床に降ろしてもらった後、お礼を言って本を拾い始める。
とりあえず近くに平積みされている本の上に被せるようにして本を置いた。
「びっくりした……。大地、今のよく反応できたな……」
「お前もできるだろ。ブロックフォローする時みたいな感じで」
……そういえば、長髪の上級生、2年の中でこいつだけ名前を知らない。どうしたものか……。
考えながらじっと見ていたのがバレたのか、今確実に目が合った。
「そういえば、自己紹介してなかったよな。俺は東峰旭。一応2年です……はい」
小さいな……、主に覇気が。身長も高いし顔も強そうなのに、どうしてここまで性格が着いてこないのか。
わざわざ自己紹介を頼まなくても良くなったのは嬉しいが、そんなに顔に出ていただろうか。気を付けないと。
「それ、もしかして全部買うのか？」
スガさんが指差したのは側に積んでいたバレーの本の数々。大体、10冊ちょっとだろう。
常日頃買っている科学誌に比べれば……、まぁ、まだマシな方……だと思いたい。
「あぁ。バレーには詳しくないからな。教わるのも良いが、自分で一度学んでおきたい」
「へぇ……。あ、これ読んだことないやつだ」
軽い雑談をしている間に本をレジまで持って行って会計を済ませる。
趣味という趣味が無いので金はある……が、思ったより買い込んでしまった。もう少し吟味すべきだったか……。
「それじゃあ、また明日」
本の入った袋を両手で抱え、そう遠くない自宅までの道のりを歩く。
20分も歩けば家に着いた。地面に袋を置き、中から本を一冊ずつ取り出して内容別に分けて積んでいく。
「これはこっちで……これは向こうに……」
4箇所に分けられた本を丁寧に移動させ、真新しいノートとシャーペンを手に机に向かう。
ノートの表紙にボールペンで“排球� 匹判颪�込んでからページを捲った。隣には清子さんから借りたノートと、さっき並べ直した本が数冊。
真っ白な紙の一番上にペン先を静かに下ろし、迷うことなく紙面を滑らせていった。
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森谷きのこ(プロフ) - ひよりさん» コメントありがとうございます。気を付けているところやこだわっているところを褒めていただき、嬉しい限りです。細々とではありますが続けていくので、これからもよろしくお願いします。 (4月4日 22時) (
レス) id: 8dba170153 (このIDを非表示/違反報告)
ひより(プロフ) - 文章の構成、 情景や感情の表現、言葉選び諸々凄い丁寧で素敵でこの作品に惹かれました！楽しく読ませてもらってます！ (3月31日 1時) (レス) @page19 id: 67c39a707a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：森谷きのこ | 作成日時：2024年2月26日 10時
