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パラパラと最初から捲っていくと、潔子さんが書いたであろうメモのようなものも小さく書いてある。
部員の好きなドリンクの味だったり、スコアの書き方だったり、テーピングのコツだったり。私にとってはそれは文字通り宝で、情報の宝庫とも言うべきものだった。
「これ、借りてもいいか？また明日持ってくるから」
「いいよ。一日交替にするから、明日ちゃんと持ってきてね」
まだ部活は終わっていないので、忘れない場所にノートを置いてマネージャーの仕事を再開する。
物を出して、片付けて、ボールを拾って、集めて。せわしなく動いているうちに、練習はいつの間にか終わっていた。
壁に背を預けて座り込んだが、疲れというものはそう簡単に取れるものではない。これからどうしようかと考えていると、一つのやるべきことが浮かんできた。
私はバレーを知らない。ルールを知らない。マネージャーの業務も、サポートも、何もかもを知らない。
でも、ここに居ると決めた以上は知らなければならない。学んで、覚えて、実践して、選手のサポートに力を注がなくてはならない。
学び直そう。マネージャーとしてここにいると、胸を張って言えるように。
荷物を全てリュックに詰め、背負い、小走りで体育館を飛び出す。学校から一番近い書店を記憶の中から探り出し、そちらの方につま先を向けた。
「バレーボール……、バレーボール……、ここか」
スポーツの棚を眺めていくと、意外と早く見つけることができた。本の種類も多そうでありがたい限りだが、惜しむらくは、……棚の上段にしか本が無い、という点だろうか。
バレーボールの教本だから背の高い奴しか取らないだろうってことか？全く、これだから身長が低いのは嫌なんだ。
近くから脚立を持ってきて床に立て、一番上の段に上がって手を伸ばす。それでも辛うじて取れるといった具合の高さに内心苛立ちを感じながらも読みたい本を手に取った。
「……ルール、審判法、技術上達、応急処置……。こんなものか」
両手で抱えても重いほど腕に積まれた本の数々。冊数も値段も覚えてない、必要だと思うのなら買うべきだろう。
本を腕でしっかりと抱え、脚立から降りようとした時だった。
「あれ、冷泉さん？なんでこんなとこに？」
聞き覚えのある男性の声。困惑して振り返ると、2年生3人の姿がそこにはあった。
そして無理矢理振り返ったせいか、足を踏み外して傾いていく体。咄嗟に本を離し、頭を抱えて目を瞑った。
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森谷きのこ(プロフ) - ひよりさん» コメントありがとうございます。気を付けているところやこだわっているところを褒めていただき、嬉しい限りです。細々とではありますが続けていくので、これからもよろしくお願いします。 (4月4日 22時) (
レス) id: 8dba170153 (このIDを非表示/違反報告)
ひより(プロフ) - 文章の構成、 情景や感情の表現、言葉選び諸々凄い丁寧で素敵でこの作品に惹かれました！楽しく読ませてもらってます！ (3月31日 1時) (レス) @page19 id: 67c39a707a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：森谷きのこ | 作成日時：2024年2月26日 10時
