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「初めて会った時、運動部に入ったことはないって言ってたから。バレーが凄く好きで入ってきたわけじゃないのかなって」
流石というべきか、あんな些細なことをよく覚えているものだ。いや、忘れかけていた私の方がおかしいのかもしれないが……。
「眩しかったんだ。夢中になってバレーボールをしているあいつらが、目がくらむくらいキラキラして見えた。だから、なんでそう思ったのか知りたくなって……」
「そっか。じゃあ、私と同じだ。応援したくなるでしょ、ずっと見てると」
年相応に悪戯っぽく笑った清水さんに第一印象のような優美さはない。けど、変わらずとても綺麗に見える。
思わずこくりと頷くと、満足そうに作り終えたボトルをカゴに入れているのが見える。
自分の分のボトルを急いでカゴに詰め、早歩きで後を追った。
「私のことは潔子でいいよ。Aちゃん、これからよろしくね」
「……潔子、さん。若輩者だが、よろしく頼む」
言い慣れない彼女の名前を口の中で転がしてゆっくりと咀嚼する。
真っ直ぐ気持ちを伝えてくれる潔子さんに頬が火照るような感覚がするが、気のせいだと思いたい……。
ボトルの入ったカゴを床に置き、一つずつ取り出して部員に渡していく。潔子さんは2年生と主将の分を、私は1年の分を。
渡し終わったら３対３用のビブスを用意して、得点版を移動させて、汗で滑りやすくなった場所を雑巾で軽く拭う。
息をつく暇もないほど次から次へと降ってくる仕事に、「これを今まで1人でやってたのか……」と尊敬の気持ちすら抱いた。
得点版をカラカラと押して移動させていると、目の端に休憩をしている1年の部員の姿が映る。名前は……何だったか。自己紹介をしてもらった記憶もないな。
そのまま横目で見ていると、ドリンクを飲んだ瞬間、少しだけ怪訝な顔をした。……私、何か入れてしまっただろうか。いや、変なことはしていないはずだ。
本人に聞くわけにもいかず、悶々と考え込みながら残りの仕事を終わらせる。
マネージャーをやって長い潔子さんと今日が初めての私ではどうしても差がある。それは理解しているつもりだったが、何となく負けたような気がした。
「Aちゃん、これ、今日からお願いしてもいい？」
「あ、あぁ。……ノート？練習の振り返り？」
日にち、曜日、どんな練習をしたか、誰が怪我をしたか、それらの情報が事細かに書いてある。どうやら、ずっと潔子さんが書いていたようだ。
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森谷きのこ(プロフ) - ひよりさん» コメントありがとうございます。気を付けているところやこだわっているところを褒めていただき、嬉しい限りです。細々とではありますが続けていくので、これからもよろしくお願いします。 (4月4日 22時) (
レス) id: 8dba170153 (このIDを非表示/違反報告)
ひより(プロフ) - 文章の構成、 情景や感情の表現、言葉選び諸々凄い丁寧で素敵でこの作品に惹かれました！楽しく読ませてもらってます！ (3月31日 1時) (レス) @page19 id: 67c39a707a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：森谷きのこ | 作成日時：2024年2月26日 10時
