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「こいやコラァァァァ！！！」
かなり離れているはずなのに頭に響きそうなほど大きい声。脈絡もない、だけど確実に注意と感心を自分たちに向けようとしたその声に、一瞬思考が止まった。
呆けたままの口を閉じ直して、声の方に視線を向ける。予想通りの金髪がコートに居たが、そこに初めて会った時のような雰囲気はない。
余裕のない、でもそれすら楽しんでいるような表情に、背筋に冷や汗が伝ったような気がした。
「旭！」
味方がどんなボールを欲しているのか分かったような動きに少し驚く。
流石上級生というべきか、逆境に立った時の切り替えが上手い。
ふと、思う。
傍から見ていても、特段上手いわけじゃない。
人を魅せてしまうような、圧倒的なプレーをするわけでもない。
劣勢からひっくり返すような才能も、力強さもない。
空いた穴を全て埋めてくれるようなチームワークもない。
でも
まだ落ちていないボールを必死で取りに行こうとすること
全員が、仲間の実力を信頼して任せること
バレーボールを楽しもうとすること
誰にでもできそうなことで、一番難しく、一番大切なこと。見ている人間にもそれが楽しいと思わせてしまうような彼らの気配に息を呑んだ。
仲間に対する最大限の丁寧さが、見ていてとても心地よい。
負けているとしても傍観者に勝敗なんて関係ない。見ていて何を感じたか、それだけだ。
そう、私は見ているだけ。
自分がコートに立つわけでも、自分がボールを触るわけでもない。
でも、決して広くはない数十�屬両欧縫棔璽襪鰺遒箸垢發里�と必死になる姿に、
どれだけ折れても、挫けても、諦めずにもう一度飛ぼうとする姿に、
こんなにも、惹かれてしまった。こんなに、美しいと思ってしまった。
初めて自分の目で星々を見た時のような、何かに焦がれるような気持ちに自分の胸が締め付けられる。
痛いほど軋む心臓を押さえて、目の前の景色を瞼に焼き付ける。
原点を忘れないように、この感情を忘れないように。私が感じたもの全てを、私の中に残しておきたいから。
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森谷きのこ(プロフ) - ひよりさん» コメントありがとうございます。気を付けているところやこだわっているところを褒めていただき、嬉しい限りです。細々とではありますが続けていくので、これからもよろしくお願いします。 (4月4日 22時) (
レス) id: 8dba170153 (このIDを非表示/違反報告)
ひより(プロフ) - 文章の構成、 情景や感情の表現、言葉選び諸々凄い丁寧で素敵でこの作品に惹かれました！楽しく読ませてもらってます！ (3月31日 1時) (レス) @page19 id: 67c39a707a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：森谷きのこ | 作成日時：2024年2月26日 10時
