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学校から歩いて数十分。目につきやすい場所にその学校はあった。
扇西高校……。ここか。
校門をくぐってすぐのところで澤村さんを見つけ、駆け寄って声をかける。
「澤村さん。来たぞ」
「おはよう冷泉。向こうの先生が、ギャラリーでなら観戦しててもいいってさ」
これでダメだと言われたらマネージャーか部員にでも変装する気だったからな。手間が省けてありがたい限りだ。折角時間をかけて来ているんだ、時間をただ無駄にするくらいなら好奇の目に晒された方がマシだろう。
部員が全員体育館内に入って注目が扉から逸れたころに中に入り、そそくさとギャラリーに上がる。
荷物を置いて下を眺めていると、相手校の部員の話し声が聞こえた。
「今日の相手、烏野だっけ？」
「そうそう、『堕ちた強豪、飛べない烏』。
全く、うちの先生も何であそこと練習試合なんか」
嘲笑うような言い方と他人を馬鹿にした態度。人間の嫌な部分が凝縮されたようにすら思うほど、不快で気持ち悪い言葉だった。
怒りではなく落胆と諦めに近い感情を溜め息で外に放り出す。
自分のことを棚に上げて他人を見下すような人間に碌な奴は居ない。だったらお前達はどうなんだと言いたくもなるが、部外者が口を出したら後々面倒なことになるよな……。
できるだけそいつらを視界に入れないようにしていると、多少のアップの後にすぐ試合が始まった。
実力差が異常にあるわけでも逆に拮抗しているわけでもないが、相手のやり方は見ていて美しくないと感じる。
取りに行けるボールをすぐに諦める、自陣のミスを全員でカバーしようとする気概が薄い。
そして何より、バレーボールをすることを楽しんでいるように見えない。
スポーツは劇的なプレーがあるから面白いんじゃない、選手が楽しそうにやっているから面白く感じるんだ。ただただ惰性でやっているような奴らのやり方を好めるわけがない。
……見ていて楽しくもなんともないものを見ていても意味がなかったな。気にしなければ問題はないだろう……。
頭を降って思考をリセットさせ、烏野の様子を観察してみた。
特段上手いと思う奴は少ない。けれど、全員がバレーに対して真摯だ。
分かりやすいチームプレイといえば良いだろうか。助けてくれる仲間がいることのありがたさ、それを全身で享受しているような、そんな動きをしている。
誰か面白そうな奴は…と探すと、一際大きな声が下から響いてきた。
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森谷きのこ(プロフ) - ひよりさん» コメントありがとうございます。気を付けているところやこだわっているところを褒めていただき、嬉しい限りです。細々とではありますが続けていくので、これからもよろしくお願いします。 (4月4日 22時) (
レス) id: 8dba170153 (このIDを非表示/違反報告)
ひより(プロフ) - 文章の構成、 情景や感情の表現、言葉選び諸々凄い丁寧で素敵でこの作品に惹かれました！楽しく読ませてもらってます！ (3月31日 1時) (レス) @page19 id: 67c39a707a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：森谷きのこ | 作成日時：2024年2月26日 10時
