34 降谷side ページ36
『まぁ、最後の約束はダメになっちゃいましたけど…』
そう言って笑う彼女は見えない涙を流しているようにみえた。
何も出来ない自分がこんなにも歯痒く思ったのはいつぶりだろうか。
彼女が探している人物は俺なのにそれを言ってはいけない。言えば彼女に危険が及ぶかもしれない。
それだけは起きてはいけない。
「Aさん…」
『あ、でもヒロ君だけはもしかしたらってまだ諦めてないんです』
「…え?な、何故です?」
それはありえない。だってヒロは…。
『…ありえないって頭ではちゃんと思ってますよ?ただの願望です。元から頻繁に会ってはなかったし返事も遅い人だったんで…まだ事情があって返事できないって勝手に思ってるんです。ヒロ君だけ葬儀も何もしてないので』
「…で、では。ヒロさんも調べ…」
『それはダメです‼』
俺はもうヒロがこの世にいない事を知っているが安室透が知るはずもなく。安室透ならここでするであろう選択をとり、叶うことのない依頼を提案しようとしたら食い気味に断られた。
『それは、ダメです。さっきも言った通り頭ではありえないと分かってるんです…。だからこそ、ダメなんです』
「…理由をお伺いしても?」
『ヒロ君の事は降谷さんから聞きたいんです。降谷さんなら事実を知っていると思うので…。ヒロ君の事を知ってる人から聞きたいんです。だから降谷さんは探してもヒロ君は探しませんでした。もし、警察や探偵に探してもらい情報が入ったとしてその事をヒロ君の事を紙面でしか知らない人よりも、ヒロ君の事をちゃんと知ってる人から聞きたいんです。だから…』
「…わかりました」
もしかしたら彼女はありもしない希望で心を繋いでるのかもしれない。
そうだとしたら降谷零はそれを断ち切る存在になるんじゃないか?
『そんな心配そうな顔しないでください。大丈夫ですよ。また変なことしたらみんなに怒られるどころか会えなくなりますからね』
彼女は俺が思っているよりも強い。
きっと俺よりもずっとずっと強い。
『だから降谷さんの事を見つけてくださいね。私がお婆ちゃんになってみんなの所に逝く時に降谷さんの事を伝えたいですから。それに降谷さんには言いたいこともしたい事もあるので‼』
「したい事?」
『あ…。みんなの気持ち分、2、3発叩こうと…みんなに心配かけてたので…それくらいしないと、その…気がすまなくて…』
「そ、そうですか…」
…彼女は本当に強い。
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しじみ味噌汁 - 私よリクエスト書いていただいてありがとうございます!!最後の揃ったってとこでうるうるきちゃいました!! (2019年3月19日 19時) (レス) id: d6c76ef174 (このIDを非表示/違反報告)
ひゆめ(プロフ) - 居なくならないって言いながら(TT)凄くうるうるです。だから、霊となってまで見守ってる感!!!凄く泣ける。更新頑張ってください! (2019年3月17日 22時) (レス) id: d9d137c800 (このIDを非表示/違反報告)
しじみ味噌汁 - 松田さんと夢主のやりとり大好きです!....書けれたらいいんですけど....もしもの話で警察学校組が生きてた場合のお話書けますかね.... (2019年3月17日 16時) (レス) id: d6c76ef174 (このIDを非表示/違反報告)
ちり(プロフ) - めっちゃ面白いお話ですね!これからも更新応援してます!まさかの所でコナンくんと出会うなんて、、笑。そして盗聴器、、。笑 (2019年3月11日 21時) (レス) id: 85512324d5 (このIDを非表示/違反報告)
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作成日時:2019年3月6日 23時