黒衣3人 ページ4
五条side
「伊地知ぃ〜」
伊地知の座る運転席に、グリグリと頭を押し付ける。
「はっ、はい、何ですか?」
伊地知は声を裏返しながら、クルリと後ろを振り向く。
「いや、運転中だし前向いてて良いよ」
ホッと溜め息が前から聞こえた。
声が裏返るいい、溜め息といい、あまりに失礼過ぎやしないか伊地知。
硝子に言うと日頃の行いとか言われるけど知らない。
「僕が毎回伊地知回すように頼んでる大量の任務の行方、教えてくれない?」
暫く間が空く。ゴクリ、と喉が鳴る。
「大量の自覚あったんですね」
「伊地知後でマジビンタ」
「で、任務は?」
「……企業秘密です」
いつもと違う伊地知の雰囲気に、口を割らなかったら言おうと思っていた「マジビンタ」が、言えなくなってしまった。
「……あんまり隠すと強行手段に出るけど?」
普段僕が使わない「強行手段」という言葉に、伊地知も生命存続の危機を感じたのか、ブルリと震えた。
そして、大通りの赤信号で車のブレーキを掛けてから、おずおずと口を開いた。
「……京都校に専属の補助監督が居るんです。その人に任務を頼むと引き受けてくれて……それ以上は何も知らないです」
伊地知の顔がミラーに映る。
キリリと引き締めた口からは、もう何も言おうとは感じられなかった。
「……伊地知、マジビンタ」
「補助監督の名前は安倍 常。年齢不詳。経歴不詳。性別不詳ですっ」
新事実:伊地知には「強行手段」より「マジビンタ」の方が効くらしい。
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緑の白猫 - 緑の白猫表示ですが、作者です。 (2021年4月23日 17時) (レス) id: 41276e8159 (このIDを非表示/違反報告)
緑の白猫 - コメントありがとうございます! 返信遅くてすみません。自分の作品に面白いと言われるなんて恐縮です。暇潰しになってくれていたら、本当に感謝です。 (2021年4月23日 17時) (レス) id: 41276e8159 (このIDを非表示/違反報告)
ミケ(プロフ) - 面白くって一気に読んじゃいました。 (2021年4月18日 16時) (レス) id: fbf0fa4848 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:陽毬 | 作成日時:2021年3月15日 21時