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少し離れた木の影から炭治郎の様子を伺う。
ぱっと見だからこれと言って根拠もないけど特に大きな怪我も負ってなさそうで、順調そうだ。
この調子なら大丈夫だろうと踵を返すと、ゾワっとした気配。
炭治郎は大丈夫だろうか、炭治郎に背を向けていた体を元に戻して炭治郎のいる方へ全速力とはいかないけどまあまあなスピードで走った。少し高めに木に登って様子を伺う。
その鬼の手だらけだった。
その手は炭治郎を決して間合いにいれなかった。
ある程度の距離を保ちながら手の鬼は余裕そうな表情で話を始めた。
その話の内容は炭治郎を激怒させるのに十分すぎた。
お世話になったと言っていた錆兎と真菰の残酷な死に様。
この藤の花の牢獄に閉じ込めた鱗滝を恨み、厄除の面を目印に鱗滝の弟子を皆殺しにしているという極悪非道な行為を正当化し、実行している鬼の残酷な言動。
鱗滝の“お前達を最終選別に行かせるつもりはなかった。子供たちが死ぬところをもうみたくなかった。”そんな言葉が頭の中で反響した。
子供達の無事な帰還を祈り”厄災をとり除く、除去する”そんな気持ちを込めて作った面だろう。一人一人模様が異なるその面は、その子供達の特徴を表していた。
それは鱗滝の子供達に対する愛故だろう。
厳しくもとても心が澄んだ暖かい人だった。
だからこそ私たち弟子が彼を敬愛しているのだ。
それを分かってなのか否か、あの鬼は鱗滝こ面をつけた子供を見つけると必ず、と言っていいほど今炭治郎に話したような、弟子の怒りを買うような話をする。
賢い鬼だ。相手の思考を鈍らせる。
現に炭治郎は怒りで周りがあまり見えていないように見える。
炭治郎はまっすぐ鬼に向かい、鬼はそれを待っていたかのようにニタニタと笑いながら沢山の手を炭治郎目掛けて伸ばす。
一瞬、炭治郎に出来た隙。
それを見つけた鬼は炭治郎を飛ばす。
ドンッ
鈍い音がして炭治郎が木に頭を強打した。
頭からは血が流れ、意識を失った。
しかしすぐに目が覚め、鬼の攻撃を躱す。
本当に危なかったら炭治郎を守るつもりでいたんだ。
炭治郎が自分で決めたんだ。自分でこの7日日間を生き延びる、と。
ゆっくりとしかし隙を見せぬように立ち上がる。
軽い脳震盪を起こしているのではないだろうか、心配は募るばかりだった。
そんな心配は杞憂で、炭治郎は鬼を圧倒し、“壱ノ型 水面斬り”で首を斬った。
それはとても美しかった。
炭治郎の水の呼吸は水面が波打つ様が見えたように思えるほど綺麗だった。
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作者です - 廣岡唯殿さん» 頑張ります!待っててください!! (2022年3月13日 22時) (レス) id: 8d6640189c (このIDを非表示/違反報告)
廣岡唯殿 - 面白い続きが観たい… (2022年3月11日 22時) (レス) @page34 id: 4e6dbece94 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:Δ | 作成日時:2021年12月31日 11時