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9話 ページ9

豚まんは、じっと、僕を見つめてる。
僕も見つめ返す。まあ、キグルミの頭と見つめあっても目は合わないんやけどね。
豚まんはコートのポケットからスルスルと布を出し始めた。
ポケットの容量を明らかに超えて出てくるソレに僕は声も出ない。
やがて布を出し終えると今度は針山と色とりどりの糸、大きな布切りバサミを取り出して床に座り、何かを作り始めた。


グルちゃんはまだ、来そうにない。



豚まんは黙々と布を切っては縫い、切っては縫いを繰り返している。
口寂しくなって煙草に火を付けたら、心なしか豚まんの手が速くなった気がした。


有害物質を肺いっぱいに取り込んで吐き出す。あー気持ちいい。
そうこうしている内に縫う作業は終わったらしく今度は綿をポケットから取り出して縫い終わった何かに詰め始めた。
段々と立体的になっていくソレは、肺だった。

そう。肺だ。大きさは人のと同じ位。色はフェルトっぽいピンク色。
豚まんはソレに綿を詰め終えるとチクチクとまた縫い始めた。

ゴホゴホと咳が出る。
最近、いよいよ煙草の吸い過ぎで呼吸器にガタがきてるらしい。


豚まんはピンク色の肺を作り終えたらしく心なしか満足げだ。
と、ドアが開いた。
そこに居たのはやっぱりグルちゃん。


「待たせたな、大先生。豚まんのお守りご苦労だった。」

ん、大丈夫やよ。それよりグルちゃん、この子なんか知らんけどポッケからめっちゃ布出てくるし急に肺とか縫い出すんやけど、どうなっとるん?

「豚まん、お前また作ったのか?」

(頷く)

「作るなら皆が寝ているときにしてくれ。ほら、それは仕舞っておくぞ。」

(首を振る)



フルフルと首を振る豚まんは何となく愛嬌があって、おもしろい。更に言うと、幼子のようにも見える。
僕はなるだけ柔らかい声色で豚まんに問いかける。



それグルちゃんに渡したくないん?

(頷く)

じゃあ、僕にやったら渡してくれる?

(頷いて肺を差し出す)

うん。ありが…………ッエ?



思ってたよりも素直に差し出されたソレを受け取ろうとした途端、ソレはパッと消えてしまった。なんでや。

豚まんはこれでよし、と言うように一つ頷くと、そのままグルちゃんのお隣へ。


「あー…。大先生、今のことは誰にも言わないでくれ。」

え、うん。え、今の何?

「豚まんの…しゅみ?」

しゅみ。


何かよく分からんけど豚まんはそういった類の何かなんやろか。
グルちゃんは邪魔して悪かったな、と言ってそのまんま出ていってしまった。

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紫苑(プロフ) - 人間の登場人物達のことは知りませんが、SCPの力を目の当たりにして良く置いておこうという気持ちになりましたねw (2018年7月14日 21時) (レス) id: 3603310884 (このIDを非表示/違反報告)
夜猫 - やったねトントン!(豚の)仲間が増えたよ! (2018年2月14日 6時) (レス) id: c27b932811 (このIDを非表示/違反報告)
国民 - SCPも我々だも大好きなので最高です。とっても面白くて続きが気になります!更新頑張って下さい笑 (2017年11月20日 21時) (レス) id: 7a0b0fb690 (このIDを非表示/違反報告)
学生APR(プロフ) - SCP×wrwrdいいですね!おもしろかったです!SCPのクマさんシリーズめっちゃ好きです!これからも楽しみにしてます! (2017年11月16日 2時) (レス) id: b7d000d60d (このIDを非表示/違反報告)
あづち(プロフ) - めちゃくちゃ面白いです!不思議な感じがしてめちゃくちゃ好きです!!夢主も夢主の周りもどうなっていくのかとても気になります!更新頑張って下さい!! (2017年11月15日 17時) (レス) id: b9233c7e2a (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:抹茶 | 作成日時:2017年9月23日 1時

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