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29話 ページ29

と、思ったのだけどねえ。


書斎の方で音がしたので見に来てみたら、窓の近くにいつもとは違う黒のロングコートを身にまとった兄さんと見知らぬ人が立っていた。一瞬、彼が犯人だったのではと身構えたが彼はグルッペンが殺される前に休暇を取って他所に出かけていた。
なら今のところは犯人でない、ということにしておいていいだろう。兄さんは簡単に挨拶をすると私を書庫に連れ込んだ。




「悪かった。まともに話し聞いてくれそうなんがお前以外思いつかなかった。」

まあ、この状況では仕方ないね。

「この状況、とは言うけれど何があったっていうんだい?兵士さんに聞いても答えてくれなかったんだ。」

その前に、自己紹介をお願いしてもよろしいかな?

「ああ、ごめんよ。私はウェストン玩具店の店長なんだ。店長ってよんでおくれよ。それと、知っているとは思うけれども私にひっついているのは豚くん。名前は特になかったから、これからは私も豚まんと呼ぶことにするよ。」

私はエーミール。しがない教授だ。よろしく頼むよ。



彼なのか彼女なのか分からないがどうやら店長さんはおしゃべりな性格らしい。そして豚まんは店長さんによくなついている。まあ、元はウェストン玩具店にいたのだから当然だろう。


「エーミール、話を進めてもいいか?」


ああ、大丈夫だよ。というか、この状況について二人にはまだ話していなかったね。
今の状況だけれどもね、・・・グルッペンが何者かに殺された。


「・・・は?」


いや、驚くのも無理はないんだ。でも冷静に話を聞いてほしい、と言うと彼は大きく息を吐き、そして目元をぬぐった。彼の瞳には水が溜まっていた。間に合わんかった。彼はそう言って沈んだように、これまでの事を話しはじめた。
外交先で拉致拘束され肉を剥がれたこと。
その肉を服の中に仕込んだ男が自分と全く同じ姿に変化したこと。
そしてぼろ雑巾のように捨てられたところを店長に助けてもらい、此処まで戻ってきたこと。
彼は何度も、間に合わんかった。俺のせいや。と言う。そんなことはないのに。
私たちも、何もできなかったのに。
と、店長が何かに思い至った様に突然言葉を発した。


「儀式用ナイフだね。」







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近い内にこのお話に登場するscpの解説を書きたいと思っております。
よろしくお願いします。

番外編 教授とゆかりちゃんによるscp講座→←28話



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紫苑(プロフ) - 人間の登場人物達のことは知りませんが、SCPの力を目の当たりにして良く置いておこうという気持ちになりましたねw (2018年7月14日 21時) (レス) id: 3603310884 (このIDを非表示/違反報告)
夜猫 - やったねトントン!(豚の)仲間が増えたよ! (2018年2月14日 6時) (レス) id: c27b932811 (このIDを非表示/違反報告)
国民 - SCPも我々だも大好きなので最高です。とっても面白くて続きが気になります!更新頑張って下さい笑 (2017年11月20日 21時) (レス) id: 7a0b0fb690 (このIDを非表示/違反報告)
学生APR(プロフ) - SCP×wrwrdいいですね!おもしろかったです!SCPのクマさんシリーズめっちゃ好きです!これからも楽しみにしてます! (2017年11月16日 2時) (レス) id: b7d000d60d (このIDを非表示/違反報告)
あづち(プロフ) - めちゃくちゃ面白いです!不思議な感じがしてめちゃくちゃ好きです!!夢主も夢主の周りもどうなっていくのかとても気になります!更新頑張って下さい!! (2017年11月15日 17時) (レス) id: b9233c7e2a (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:抹茶 | 作成日時:2017年9月23日 1時

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