25話 ページ25
"我々"の国へ戻って数日。俺は残った仕事を片付けるべく夜も深まるの総統室へ向かっていた。執務室ではなくプライベートルームの方だ。廊下には人一人もおらず監視カメラの微かな稼働音が聞こえるだけだ。
「あれ」
…ああ、ロボロか。
突然声をかけられて反応が遅れる。まだ起きてたのか。敵方にとって、AIが監視しているときはまだどうにかなるが彼が直接本部内を監視しているときは不味い。どうにもならないからだ。それほどに優秀な監視役なのだ。
「こんな夜中に何しとるん?今日は兄さん非番やろ?」
そっちこそ、こんな遅くにどうした。悪戯か?
「いや違うわ。ゾムとかと一緒にせんといて。寝られんから散歩。」
俺もそんなもんや。どうも目が冴えてな。
「そっか。」
それじゃあ。お休み。
「ん、お休み。また明日な。」
ロボロと別れてしばらく歩けば、この軍の一番奥、中枢、つまり総統室と彼の私室が見えてくる。
念のために確認してみたが、部屋の明かりがついているのでグルッペンは未だに総統室の方にいるなのだろう。部屋の前を通り過ぎて更に奥、彼の私室がの扉をそっと開く。鍵はかかっていなかった。
もう少し。
部屋の中は月明かりに照らされてほのかに光っており、どこか神秘的な様子だった。
足音を殺して、窓際のベッドへ近づく。
もう少し。
懐からリボルバー式の拳銃を取り出す。グリップ右側面を取り外し"P、F"と書かれたメモリをFに、00/00/00となっているツマミを5日後の年月日に調節する。
玉はすべて詰めてきた。ベッドは目の前。この距離なら外しようがない。
枕と布団の中央その左右、下、そして枕に頭をのせて仰向けで眠ったならば丁度人間の左胸があると思われる位置の六箇所に狙いを定め、連続で発砲する。
銃声はならない。たまも出ない。が、リボルバーを確認すれば確かに全弾を出し切っていた。
大きく息を吐き出す。これで仕事は終わりだ。我々の総統は死に、この国は滅びる。いや、滅びないかもしれないがそんなことはどうでもいいのだ。仕事は終わった。あとは帰るだけだ。服の下に仕込んである忌々しい肉片ともおさらばだし、もうこんな奴の姿を真似なくて済む。
俺は踊り出したいような気分で部屋に戻り、荷物をまとめ、ここを出ていった。
勿論、我等が総統様に休暇届を出してある。完璧だ。
仕事は終わった。
あとのことは知らん。俺はは休むだけだ。
ーーーとある国の暗殺者の日記より抜粋ーーー
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紫苑(プロフ) - 人間の登場人物達のことは知りませんが、SCPの力を目の当たりにして良く置いておこうという気持ちになりましたねw (2018年7月14日 21時) (レス) id: 3603310884 (このIDを非表示/違反報告)
夜猫 - やったねトントン!(豚の)仲間が増えたよ! (2018年2月14日 6時) (レス) id: c27b932811 (このIDを非表示/違反報告)
国民 - SCPも我々だも大好きなので最高です。とっても面白くて続きが気になります!更新頑張って下さい笑 (2017年11月20日 21時) (レス) id: 7a0b0fb690 (このIDを非表示/違反報告)
学生APR(プロフ) - SCP×wrwrdいいですね!おもしろかったです!SCPのクマさんシリーズめっちゃ好きです!これからも楽しみにしてます! (2017年11月16日 2時) (レス) id: b7d000d60d (このIDを非表示/違反報告)
あづち(プロフ) - めちゃくちゃ面白いです!不思議な感じがしてめちゃくちゃ好きです!!夢主も夢主の周りもどうなっていくのかとても気になります!更新頑張って下さい!! (2017年11月15日 17時) (レス) id: b9233c7e2a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:抹茶 | 作成日時:2017年9月23日 1時